下弦の月
□華の声、咲くか 散るか…/序章
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京。
六条堀川にある、源氏の御曹司の屋敷。
その一室で、二人の男が花見酒を楽しんでいた。
一人はこの屋敷の主である、源九郎義経。
もう一人は源氏の軍師である武蔵坊弁慶だった。
桜舞い散る中、ふいに弁慶が口を開いた。
「鎌倉殿が、君を宴に招くそうですよ。」
「兄上が?」
弁慶は綺麗に折り畳まれた紙を、九郎に渡した。
それを開くと、おそらく彼の人の部下が書いたであろう文字が現われる。
「『望月の晩の宴、必ず参られたし』か…」
「なんでも、見せたいものがあるとか…。」
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