スマブラ短編BL
□王子様を狙え!
1ページ/2ページ
ここはいつも通りのスマブラ界ピーチ城。
今日も健やかに朝を迎え、朝食を摂り終わって広間で寛いでいたマルス。
そんな彼に元気いっぱい声を掛ける者が居た。
「マルスせーんぱいっ!」
「あ……ピット」
ピットだ。
このスマブラ界に来た折、マルスの上に墜落すると言うハプニングを起こした彼。
しかし持ち前の明るさと素直さで、すっかりマルスと仲良くなった。
…詳しくは、一般の短編小説“天使が舞い降りた”を、参照の事。
「マルス先輩、一緒に街まで出掛けませんか?」
「今日?」
「はい、マルス先輩と沢山一緒に居たいんです!」
ピットは本当に素直だ。
素直すぎて、聞いている者達が恥ずかしくなるくらいに……。
そんなピットを見ていた1人の男が、イライラして口を開いた。
「おいピット! お前、馴れ馴れし過ぎるぞ!」
ロイだ。
見るからに機嫌の悪い彼は、それを隠そうともせずピットを指差す。
「何が“マルス先輩と沢山一緒に居たいんです”だ」
「え、だってマルス先輩の事大好きですから」
「……ピット」
ストレートすぎる言葉に苦笑するマルス。
ロイはマルスの後輩というポジションに安心し切っていたのだ。
だから……マルスの新しい後輩、しかも元気が良くて礼儀正しいと言う、
マルスが拒否し難い性格の者の登場は大ピンチだ。
ロイはマルスに対し生意気でひねくれ者な感じなので、マルスは、素直なタイプのピットの方が一緒に居やすいらしい……。
「なぁにが“マルス先輩の事大好きですから”だ!」
「だって、大好きなものは大好きなんです。
こんな美人で可愛いマルス先輩なんです、好きになって当たり前じゃないですか」
「いや、ピット……それはちょっと……」
“美人で可愛い”は男に対して使う誉め言葉ではない。
しかしピットは、
「僕、何かおかしいこと言いました?」
と本気で言っている様子。
その素直すぎる言葉に、突っ込んだマルスもどうにも反論し難い。
「大体ピット、オレも先輩なんだから、マルスの前に俺を敬えよ!」
「え、ロイ先輩みたいな人なんて絶対に嫌です」
「素直過ぎんぞお前!!」
嫉妬剥き出しで睨み付けるロイと、嫌みではなく本当に意味が分からないと言う様子で彼を見つめるピット。
そんな2人を見て溜め息をつくマルスに、ある者が声を掛ける。
「マルス、今から時間あるか?」
「あ……」
アイクだった。
ロイとピットが視界に入っていないかのように割り込んで来ると、
マルスの肩に手を置いて誘う。
「手合わせに付き合え……いや、付き合ってくれ」
「さり気に命令形だったよね、今」
彼の相変わらずな図太い神経には、もう慣れた。
さて、ピットとアイク、どちらに付き合おうかとマルスは悩む。
すると、自分だけマルスリスト(?)に入っていない事に焦ったのか、ロイが声を上げた。
「待て、アイク! お前元の世界に、何でも言う事聞いてくれる恋人(微妙にショタ入った美少年)が居るだろうが!」
「えー、じゃあアイク先輩は向こう行って下さい」
ロイとピットの言葉に、アイクは少しだけ眉を上げた……が、特に何を言うわけでもない。
惚けているのかとロイは更に続ける。
「惚けんなよ! 知ってるんだからな、お前だけに懐いてお前だけに心を開いて、
お前の言う事なら何でも聞いてくれる美少年の存在を!!」
「……」
「あんなプレイやそんなプレイもやりたい放題か!
羨まし過ぎるぞお前!!」