スマブラ短編BL

□空の白さと君の青さ
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駄目だ、俺は故郷に誰よりも大事な奴を残した。

アイクはそう言って僕を完全に拒否した。

彼が故郷に残したのは僕なんて足元にも及ばない程の愛しい存在。
何が何でも守ってやると……死ぬまで傍に居ると誓った仲らしい。

幼い頃に出会い、離れ離れになり、それでも運命に引き寄せられるように再び出会った。
紆余曲折あって心を通じ合わせ、代える事の出来ない唯一の存在になった。

とても羨ましいよ。
君が狂おしい程に想っている少年になりたい。


「あいつは、俺が居ないと駄目なんだ。勿論、俺自身も自主的にあいつの傍に居たいと思っているが」


僕だって、君が居ないと駄目なのに。
……なんて言っても、君は揺らいだりしないよね。


「俺が持っていないものをあいつが補う。あいつが持っていないものを俺が補う……惚気になるが、
これ以上ない最高の関係だと自負してるんだ」


辛い戦いを乗り越えて、最高に信頼し合う関係になったんだね。

恋に出会った順序や時間は関係ないって言うけど、絶対に嘘だよ。
彼……アイクと、彼が想う少年のように、固い絆が出来たら敵わない。
もう彼は絶対に揺るがない。


「そういう訳だマルス、俺はお前の気持ちに応えられない、絶対に。俺はセネリオを愛している」


キッパリ言うね。
まぁ、そんな所も大好きなんだよ、僕。

あぁ、今日もよく晴れているけど、真っ白な雲があちらこちらにある。
失恋の悲しみにぼやけた視界で空を見ると、雲の白が滲んで青い空が白く見えてしまう。

なのに同じくぼやけた視界で君を見たらとても蒼く見えて、何だか不思議な気分になった。




-END-



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