過去拍手

□最遊記
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鮮やかな金糸の髪に紫暗の瞳。
私は共に黒いから、羨ましいと思ってしまう。
本人はきっと気にした事なんてないんだろうな。
太陽にも月にも電灯の光でさえ反射する髪。



「三蔵は髪、伸ばさないの?」
「あー?」



新聞を読んでいた三蔵は訝しげにこちらを見る。
だって髪伸ばしたら綺麗だろうなと思ったんだもん。



「何処ぞのクソ河童じゃあるまいし、伸ばす訳ないだろ。」
「だよね。」



長い髪なんて欝陶しいの一言で終えてしまうと思った。
私は三蔵の髪に指を通す。



「・・・何してる?」
「別に?新聞読んでていいよ。」



そうは云ったものの、三蔵がそのまま読み続ける事などない事は判っている。



「好きだな、三蔵の髪。」
「好きなのは俺の髪だけか?」



反転する視界の先に三蔵の顔。



「んー、目も好きだよ?」
「貴様な・・・。」
「ははっ、冗談だって。」



あくまでもそれは貴方の一部だもの。
好きなのは・・・。



「貴方の全て。」




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