☆SHORT STORY☆
□☆つながる新しい気持ち
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☆つながる新しい気持ち
今日はゆみこの誕生日。
お稽古があると言うから、
残念ながら、ふたりで一緒にする食事は、また後日と言うことになった。
食事は済ませてくるだろうから、
シャンパンと、今お気に入りのお店の小さなケーキだけを用意して
ゆみこが帰って来るのを、部屋で待っていた。
誕生日が終わってしまう、
そんな焦りを覚える時間に。
カチリと、ドアが開く音が聞こえた。
すぐに玄関に向かう。
「おかえり、ゆみこ。」
玄関に荷物を投げ出して、ゆみこが抱きついて来た。
少し赤い頬と目が物語っていたけれど、微かなアルコールの香りが鼻をかすめた。
肩の上から、くぐもった声で。
「ただいま〜チカさん。遅くなってごめんね。」
肩と腰にまわした手に力をこめて、ぎゅうと抱きしめてから、
「ううん。でも、待ってたよ。」
髪に手を入れて、くしゃっくしゃと撫ぜた。
「疲れたでしょ。」
コクリとゆみこがうなずいて、スニーカーを脱ぐ。
今日の食事は、お稽古の後と言うこともあって、気軽なお店だったようだ。
リビングに入ると、ゆみこが歓声を上げた。
「わぁ〜チカさん、キレイ。」
テーブルの上の、白い花でまとめた小さなアレンジメントを見つけて、
ゆみこが嬉しそうに微笑んだ。
こぶりなので、花の種類も限られてしまったけれど、気にいってくれたようで、
私も嬉しい。
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