☆SHORT STORY☆
□☆なにがいい?
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☆なにがいい?
ソファーに座って文庫本を読んでいるゆみこの太ももの上に、
何も言わず、勢いよく頭をのせた。
「わぁ〜!!」
ゆみこの驚きは無視して、ゴロンと足を投げ出した。
目に少し非難の色を浮かべて、何か言いたげにゆみこは口をかすかに動かした。
けれど、それも無視して、にっこりと笑顔を返した。
手に携帯を持ち、文章を考え始める。
「チカさん、メール?」
ゆみこは私にモンクを言うのを諦めたらしい。
「うん。ファンの人に、ね。」
「あ〜、チカさんはメールだもんね。ブログじゃなくて。」
クスッとゆみこが笑った。
FCサイトのブログを、ちっとも更新していないのを知ってるのだろうか。
「なに笑ってんの。」
チラリと流し目でゆみこを睨む。
「え、べつにぃ。なんも言うてないよ。まさか、、」
ゆみこは私の投げ出されてる足までスルリと眺めて。
「こんな格好でメール打ってるって知ったらファンの人驚くね。」
そう言いながらも、表情は可笑しげに緩んでいる。
「お手紙でも更新してください、ってすごく言われるけど、私はメールの方が好きなんだから。」
「誰に言い訳してんの、チカさん。」
「べつにぃ。 ゆみこは毎日更新してるって書いてあった。」
「うん。なんかね、できる限りガンバローかな〜って。今はちょっと意地にもなってる。」
今度は大きくゆみこが笑った。
「ゆみこらしい。その意地っぱりぶり。」
私も声を合わせて笑う。
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