☆SHORT STORY☆
□☆虹に向かって
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☆虹に向かって。
「うわぁー!!」
大きな声で、チカさんが叫ぶ。
「ゆみこーー!」
滝まで歩くってことがわかっていたらから、スニーカーもいるね、って打ち合わせたのに。
チカさんが持ってきたのは底の丸いMBT。
道は滝からのしぶきで常に濡れていて。
しかも今日はわたしの負け。
雨も降っていて。
底が丸くなくても滑るのに、、。
それはそれは、、。
滑る。
滑る。
氷の上?ってくらいに、チカさんは何度も何度も滑って。
その度に大声で叫んで。
わたしにガシって掴まる。
でも、態勢を整えたら、すっとわたしから離れて歩き始める。
「そんな靴で来るからやん。」
「だって、どうせなら、足痩せもしようと思って。」
きっと心の中では同じこと思ってるくせに、認めずに言い返して来る。
「めっちゃ効率的やね。」
それがおかしくてわざとちょっと揶揄をこめて、言う。
「めっちゃ、いいアイデアやと思ったんやぁー、、、あぁー!! ゆみこっ、 アブナイ!!」
って言いながら、また滑ってる。
そして叫びながら、また両手でわたしを掴む。
さっき買ったレインコートがカシャカシャと音を立てる。
着くまでに破れそうやん。
わたしはちっともアブナクないけど。
ちゃんと滑らない靴履いてるもん。
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