☆SHORT STORY☆
□☆おかえり
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リビングで、スーツケースのカギを開けたとたん、
ピンポーンとインターフォンがなった。
「はい。」
「ゆみこ。わたし。」
「チカさん。。♪」
思わず弾んだ声が出た。
家に着く時間は知らせていたから、
ちょっとは期待していたけれど、
実際に声を聞くと、やはりすんごく嬉しくて。
胸がドキドキした。
映し出されたチカさんは、少しうつむいて、
はにかんだ笑みを浮かべていた。
オートロックをすぐに開けて、急いで玄関に行く。
いつものように、チカさんのスリッパを出して、
いつものように、ドアの鍵をカチリと開けた。
ほどなく、ノブが下りて、ガチャリとドアが開いた。
「チカさん。。」
自分のほほが思い切り緩むのを感じた。
チカさんは、穏やかに笑んで、
手にしてたバッグと包みを横に置くと、
何も言わず靴を脱いだ。
無言のまま、ラグの上で、わたしの手首をつかみ。
そして、ぐっと抱き寄せられた。
あ〜、チカさんのにおいだ。。
それでも、チカさんが何も言わないので、
頭をより摺り寄せて、
「ただいま、チカさん。。」
と、くぐもった声でつぶやいた。
チカさんの手は、わたしの形を確認するかのように、
肩と背中をゆるやかに動いている。
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