☆SHORT STORY☆

☆イブという魔法
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☆イブという魔法

『今日何時になってもいいので会えますか?』


何度も何度も送信しようとして。
そのたびにわたしの一部の何かが押しとどめて。
迷いに迷ったけれど。

ついに決心をした。

目の前のコーヒーを一口飲んでから。
送信ボタンを、えいっとタップした。



今日は、DSの後、スタッフやメンバーと打ち上げに行くって聞いている。
わたしは明日もお稽古がある。
だから、会うのはXmas当日夜にねーって。
約束してるけれど。


昨日の帰り。
街のイルミネーションの下を
肩や腕を組んで寄り添い歩く恋人たちの姿を見たら、、。

イブの魔法にかかっちゃった。


どうしても。
イブという今日の日に、
ちょっとでも過ごしたくなっちゃった。
チカさんと。

どうしても。



今日はお稽古がお休みで見に行けることになって。
会場で姿は見れるけれど。

そういうこととは違う。


一緒に同じ景色を眺めたい。
ゆみこって、優しい声で名前を呼んでほしい。
チカさんのあったかい腕に包まれたい。

心のどこかが強く求めてる。



翌日には会えるとわかっているのに。
なんで、、って自分でも思う。
イブであろうと、流れていく日々のうちの一日に過ぎひんのに。
やはりそれにとらわれていることに気付く。

そして。
とらわれて、切実に会いたいと思ってしまうのは、
やはり、自分の心の中に大事な人が住んでいて
その人のことがほんまに大好きだからなんやろうと、
そんな自分が少しおもはゆかった。



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