☆SHORT STORY☆

□☆おまじない
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☆おまじない

うちのリビングのソファーで、
チカさんは自分が宙時代に出ていた作品を熱心に見ている。

「あっ、」
さりげなく、チカさんの髪に触れ、1本さりげなく抜いた。
「何?」
「ゴミがついてました。」
「そう?」
「はい。」

よし、よし、ひとつ目、ゲット!

「チカさん、ここに『ゆみこと一緒に頑張ります〜!盛り上がろう〜!』って書いて。
スタッフに今日会うって言うたら頼まれたから。」
「うん?総見がらみ?ゆみこが直に頼まれたの??」

うっ、鋭い!さすがチカさんだ。
そんなのウソやから…。
わたしが直接頼まれるなんて、ほぼあり得ない。
でも可能性はゼロではないから、
ちょっと不審がりながらも、チカさんは、サラサラと書いてくれた。
ファンの人にも言われるけれど、やはりわたし達、字が似てるかな、、?

よし、よし、これで二つ目ゲット!
あとは、、。

「チカさん、シャワー、浴びてください〜。」
「うん。どうしようかな、、。」
「あ、そうか、それ見てるんだもんね。」

う〜ん、なんで、今、CSつけちゃったんやろう。
失敗やった、、。

「でも、いい。じゃ。一緒に入る?」

ブンブンと、首を大きく横に振った。

チカさんは、何か言いたげだったけど、
「ふ〜ん」と、目を細めて、かすかに緩く笑うと、バスルームに向かって行ってくれた。

あ〜神様、ありがとう〜。
こんな時だけ、ずるいけれど、ホンマにありがとう。

それにしてもあの目。
バ、バレタかと思った。。
チカさんは本当に鋭いから、
わたしの考えてることなんて、いっつもお見通し。。
悔しいけど、なんでもすっかりお見通し。。
でも、ちょっとだけはうれしいかな。。



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