基本銀新2

□秘色色の空2 (完結)
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「寝ちゃってましたね。大丈夫ですか?」
「は…?あれ」






見れば狭いアパートだった。白い清潔そうなカバーをかけたベットの上で寝ていた。貧乏学生が住みそうな木造の天井の低いアパート。

「…ここどこだ?」
「僕のアパートです」

どきどきと跳ねる鼓動を抑えつつ、さりげなく盛り上がってしまった股間も隠しつつ…伊東はきょろきょろと辺りを見回す。6畳くらいの和室の部屋にベット机箪笥と生活全てが詰め込まれている。それでもきちんと整理された居心地のよさそうな部屋。


新八が目の前に「はい。お水です」とグラスを置いた。

「伊東さんって結構お酒よわいんですね」
くすくすと笑う。

「すっかり酔って何言ってるかわかんなかったんで、もう僕の家に連れてきちゃったんですけど」

…あ、あれ?たしか今日は…


思い出した。大学の学部を超えた飲み会で…伊東は新八を誘って飲んだ。あのクソうるさい土方も幸いにバイトだとかでいないという。それに新八はいかにも酒に弱そうだ。あわよくば酔わせてちょっといい雰囲気にでも…そんな下心が伊東にあったことは否めない。


「ぐでんぐでんでしたよう。意外でした」


…不覚だ!!

伊東は自分の失態にかあと頬が熱くなった気がした。


『僕あんまりこういう飲み会でたことがなくて』
隣で新八が楽しそうに話しかけるから…隣で新八がころころと楽しそうに笑うから…
『伊東さんこれ、凄くおいしいです。ほら』新八と一緒に食べたり飲んだりすることが予想以上に楽しいから………



………飲みすぎた。





「君は酒、強いね…意外に」
恥ずかしくて声が不機嫌になった。それでも新八は気にもしないように笑って「姉さんがザルなんです。血筋かなー」なんて暢気に答える。



「あ、もう泊まっていきますよね?終電ないし。これ着替えです」
洗濯されてきちんと畳まれたTシャツを引っ張りだして差し出した。

「下着もいるかなって…伊東さんが寝てる間にコンビニで買ってきたんですけど」

気がつきすぎだ!新八君!君はどっかの新妻か!

伊東の内心の突っ込みもなんのその新八はにこにこと笑う。
「お風呂どうぞ」


伊東はなんと言っていいかわからず言われるがままに着替えを掴んで立ち上がった。
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