沖田総受1

□水面の月(完結)
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「あーザキィ」
お風呂上がりのいいにおいをさせて沖田さんがぺたぺたと廊下を歩いてきた。

「それ 土方のヤローの?」
俺のもっているお盆の上に置かれた急須と湯飲みをのぞきこむように湯上がりの上気させた頬をよせてきた。

「副長は夕方から書類と格闘してますからね。そろそろ一息つきたいんじゃないかと」俺がいいおわらないうちに沖田さんは湯飲みをつかんで注がれたお茶をぐいっと飲み干した。

「ってきいてるんですか?!副長のお茶ですってば!」
「お風呂上がりでのど乾いてたんでい。おわかり。」
無邪気に空になったお湯のみをつきだす。
…たくこの人は〜。
 
だいたい両手でお盆をもっててどうやって注げっていうですっていおうとしたら
「あー両手ふさがってるか。座って山崎」といきなり廊下に座り込んだ。

庭に面した縁側の廊下は初夏の夜の涼しげな風が吹いてきて沖田さんのまだ少し湿った髪を揺らした。

…いいか。お茶もってこいと言われたわけではないし。

並んで沖田さんと庭に向かって腰掛ける。
月がきれいだ。でも月明かりに照らされた沖田さんはもっとはかなげで綺麗だ。
お茶をついで渡すと、沖田さんはそのままつと唇をつけて湯飲みを傾けた。
「あ!熱いですよ!」言うまもなく「あちっ!」と湯飲みから唇を離して俺をにらんだ。
「冷やしとけようーさっきはちょうどよかったのにイ」
「ってさっきは湯飲みに注いでいましたからね。これさっき注いだばかりで、だいたい沖田さんは」
「やけどした。」
「だ、大丈夫ですか?!ごめんなさい!」

俺もかなりヘタレだ…。この傍若無人な一番隊長にはかなり弱い。

「ほらあ。ひりひりすらァ。」
沖田さんが無防備に桜色の唇を薄くあけて赤く細い舌を見せる。

…舐めてやろうか。

ぐっと男の部分が目覚めたのを理性で押さえる。副長なら言うんだろうか。そしてこのかわいい舌を舐めて吸うんだろうか。

「大丈夫ですよ。どうもなってません。」

月の光は狂気の光。隠した欲望を暴き出す。

誰が言っていていたのか、月明かりに照らされた沖田さんを見ながらふとそんな言葉を思い出した。
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