沖田総受1
□触手の日(完結)
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「土方さーん。ほんとにその瑠璃丸の兄弟ってクワガタだかカブトムシだかがこの森にいるですかいイ。」
森の中で草をかき分けながら総悟がぶつぶつと文句を垂れる。
「だいたい何で俺がこんなんしなきゃなんねえんですかイ」
「しかたねーだろ。将軍様のペットがまた逃げたってんだから。しかもそのことは内密にだってんだからさ。」
俺が煙草を吸いながら答えると
「んじゃあ、ジミーにでもさがさせりゃいいでしょー。あーしかも土方のヤローとふたりきりとか、げんなりでさ。」と小憎らしいことをほざく。
「山崎は監察ででかけてんだよ。」
わりいな。山崎は俺が仕事あてがってでかけさせた。ほくそ笑みながらいうと
「んじゃあせめて近藤さんと一緒がよかったでさあ。」
くそっ。かわいくねーやつ
「いいじゃねえか。俺とふたりっきり。」
腰をつかんで引き寄せようとすると
「なにしやがんでい!」
照れじゃなくて容赦ない力のこもったビンタで返された。
「見境なく盛ってんじゃねー。エロ方」
ぎろっとにらまれた。
おっかしいよなー。俺と総悟は単なる同僚じゃねえ。キスまでした仲だ。一緒にいるうちお互いに気持ちに気がついていつの間にやら二人は・・・。
って思ってんのは俺だけか?
キスはまあ許してくれる。流れ次第ではちょこっと体を触ったこともある。しかしそれ以上進もうとすると容赦なく鉄拳が飛んでくるし、まず隙をまったく見せねえ。
この間は俺のキスのテクニックで腰砕けにさせてなし崩しに次のステップに進もうとしたが、ひでえ目にあった。
天才剣士沖田総悟渾身の一振りが愛刀菊一文字で俺の前髪をかすっていきやがったんだ。俺を殺す気かよ。まったく。
まあ、でもいい。
俺は総悟に気づかれないようにこみ上げる笑みをかみ殺した。
今日は何が何でも抱かせてもらうぜ。