沖田総受1
□夏出水(完結)
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「ザキ、上にチョコがのったバニラのアイス食べたい。」
風呂上がりの沖田さんにそう言われて我ながら甘やかしているなあとおもいつつ、アイスを買いに走った。
嬉しそうな沖田さんがそれでもなんとなく寂しそうに縁側に座ってアイスを食べていると、非番の副長が帰ってきた。
「おー総悟。風呂上がりか」
いつものクールな副長っぽくなく沖田さんにじゃれてくる。結構飲んでるようだ。勿論並んですわっていた俺のことなんか眼中にない。
「ちょっと、やめなせえ。酔っぱらい。」
沖田さんは心底嫌な顔をして副長を押しのける。
「アンタ、女くせえですぜ。ドスケベヤロー」
「うるせえな。男なら当然だろうが?」
いやがる沖田さんの肩に手を回して黒の着流しを着た副長がにやりと笑う。確かにぞくっとするほど男前で女達が放っておかないだろうなとは思う。
「今度いい女紹介してやるよ。」
「結構でさ!」
「うわっ」
副長の手を振り払ってすくっと沖田さんが立つ。ついでに副長の足も払って縁側に転がして。
「ザキ!部屋いって対戦しようぜ。こんなエロにつきあってられるか。」
そういって俺の手を引いて歩き出した。
真撰組随一の天才剣士の手は意外に小さくて柔らかい。力を抜いた自然の構えができているからだと聞いたことがある。
「アイスもういい。」
憮然としてくわえていた棒アイスを俺に突っ返す。わざわざ買いにはしったのに、最初の一口しか囓ってない。
この人はもう・・・。
勿論俺はそれはそれでうれしいんだけどね。沖田さんの食べたアイスをときめいて食べてる俺も俺だ。