沖田総受1

□遣らずの雨(完結)
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「雨ふりそうだな・・・。」

夏の朝まだき。
寝床から障子を少しあけてどんよりとした外を見上げた土方は呟いた。

今日は総悟の誕生日だ・・・。

今日の沖田は通常勤務で夜勤もない。明日は午前中非番だ。しっかり当番表で沖田のスケジュールを確認して数週間。あとは誘うだけ。

『誕生日だな。おめでとう。俺と一緒に祝わせてくれよ。』
いやいや、ちょっと押しつけがましいか。ちょっといやらしい感じもするし。
『誕生日祝いに何がいいか?わかんねえから買い物付き合えよ。』
いや、もっと軽めがいいか。単なる同僚、上司としてさりげなく。
『お前今日誕生日だろ。うまいモン食わせてやっから夜付き合えよ。』

ううーん。と寝床の上で頭を抱える土方。


土方はもうかなり前から今日のこの日の沖田を誘うのに苦心していた。
あの悪魔っこめ。
勇気をふるって誘って『うるせー土方。キモイでさ』なんて面と向かって言われたらどうしようか、ありえるだけになかなか踏み切れず今日まで来てしまった。

いや、誕生日当日にいきなり誘うほうが、堅苦しくなくていいかもしれない。前もって予約入れるなんて特別な感じで警戒心をもたれるかもしれないしな。
さりげなく、さりげなく。

「うまいもんおごってやる」っていったらアイツは飛びついてくるさ。
そう、自分を励まして土方は寝床を後にした。
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