沖田総受1

□潜入捜査@
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「幕府の要人?」
渡された写真をみて俺がいうと
「ああ、その弟だ。15以上も歳が離れてる。」

土方さんはいつものように紫煙をくゆらせながら答えた。
あれ?なんかすっごい機嫌悪い?

「へえ。結構な美少年ですねい」
写真の中では色素の薄そうな華奢な少年が無邪気に笑ってた。19歳という歳よりも幼く見えるが目がぱっちりして美少女みたいな綺麗な顔している。

「・・・お前に似てるな。」
土方さんは苦虫をかみしめたような顔してぼそっと呟いた。

・・・俺に?



「・・・で?その行方不明になった少年を捜して保護するのが真撰組の今回の仕事なんですかい?」俺が写真を返しながら聞くと、「・・・・・・ああ。」たっぷり沈黙したあと低く答える土方さんの声。

あーなにが気に入らないのかしらねえけど、なんなんですかい。その態度。

「で、近藤さん、それで俺は何をすりゃいいんですかい?」
煮え切らない土方のヤローを見限って近藤さんに振ると、近藤さんはこまったように眉を寄せて俺を見た。

「潜入捜査だ。行方不明になったこの少年の周辺をさぐってほしいんだ。」
「ザキは?」

俺は剣を振り回すのは得意だが腹芸や探り合いはむかねえ。そう思って聞くと近藤さんはますます困ったように
「あー今他の仕事で出払ってる。まあ、呼び返せばいいんだが、なんせ向こうの指名だ。総悟にって。」
「俺?」
おもってもみねえ流れでびっくりした。なんで俺?

「その行方不明になった少年の兄の北大路が、お前に頼みたいといっている。」

それって幕府の要人っていってた人だよな。なんで俺?
「その少年の恋人ってのが」近藤さんが説明しかけたとたん。

「やっぱ、やめだ。近藤さん。」
強い声で土方さんが遮った。


「だいたい総悟はこんな仕事にはむいてねえ。直情型で人の裏がわかんねえこんな餓鬼には無理だ。無理。」

おおい。ちょっとまってくれ。人捕まえてどういう言いぐさだ。
「どういう意味でい」むっとしていうが、土方のヤローは完璧俺を無視して近藤さんに言いつのる。

「若い隊士がいんだろ。そいつにさせろ。」
「いやーそりゃ無理だろ。総悟くらい若いやつはどれも新入りのぼんくらだ。」
確かに。俺くらいの歳で隊を従えてる幹部はいねえ。ま、俺の実力だが。
なんてほくそ笑んでると
「いい、俺が補佐する。」土方が言いつのる。
なんでえ。俺にそんなに仕事させたくなんですかい。

「トシよう。心配するお前の気持ちもわからんでもないが、条件は総悟にぴったりではあるぞ。」
「だが」
「ねえ、近藤さん。」
俺を無視して話が進むのが面白くねえ。むりやり割り込んだ。

「説明してくだせえ。俺にはさっぱり事情がつかめませんや。」
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