沖田総受1
□サッカリン・チャイルド(完)
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「ザキー」
傍若無人に俺の部屋の障子を開けて、来た!この悪魔!
風呂上がりの髪から雫をしたたらせ、石けんのいい匂いをさせて沖田さんが今日もやってきた。
「足、爪切って」
どっかり据わって俺の前に無造作に投げ出した白い足。単が膝までめくれてどきりとする。
俺は必死に書きかけの書類にしがみついた。全く冗談じゃありません。
「沖田さん、すいませんけど今、報告書書いてる途中なんで」
「わかった。誰かに頼むわ」「俺が切りましょう!!」
・・・だめだ。なんつーか、沖田さんのいいようにあしらわれている気がする。
沖田さんは畳の上に座り、後ろ手をついて足をなげだす。立てた片足は白い太ももまで見えて。あ、あと少し俺がかがめば奥がみ、見え・・・。
天竺の天竺の流砂が池の貘に食わせ。アビラウンケンソワカ・・・
思いついた呪文を唱える。お、落ち着け、俺。あ、これ夢見の悪い時のおまじないだっけ。そういえばこれ死んだばあちゃんが教えてくれたっけ。ばあちゃんの作るおはぎ美味しかったなあ。えーとえーとそれから…
必死に別の事を考えながら、沖田さんの足の爪を切っていく。
綺麗な桜貝。この人爪の足まで綺麗なんだ。小指の爪なんてあかちゃんの爪みたいに柔らかくってちっちゃい。指一本一本を口にいれてしゃぶりたくなる…。そしたらどんな反応するだろうか。
一生懸命ばあちゃんのつくるおはぎの事を考えようとしていたのにいつのまにか不埒な内容になってしまっていた俺。
う…。し、しかたないよな。だって若人だもん。
ちらりと顔を上げて沖田さんをみると、俺を見る楽しそうな笑み。
絶対俺で遊んでる!
…あんまり人を舐めていると知りませんからね。
沖田さんを軽く睨んでそう目線で送るとますます楽しげな沖田さん。
「さ、切れましたよ。あんまり伸びていませんでしたから」
爪切りを片付けながら言うと今度は言うことことかいて
「マッサージして」だ。
「…沖田さんわざとやってるんでしょ?」
「ん?うん。」
にっこり嬉しそうな顔。こういう笑い方するとホント子どもみたいに無邪気だ。中は鬼ですけど。
「ザキ。して」
ことさら甘い声でおれを誘った。