基本銀新2

□成人合宿1日目(完結)
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「成人合宿ぅぅ?」


俺は飲みかけの茶を吹きそうになった。


ええ…そうなんです…と頬を染めた新八が差し出したちらしを見て仰天する。

は?「性経験がない若者を、合宿形式のセミナーで初体験まで導く」!?
なんだ?それえええ?


あわてて記事を読むと、しごくまともな風に書いてあった。

主催はNPO法人で「童貞・処女を集めた2泊3日の合宿は、『性生活概論』『男女交際概論』などの講義からスタート。『男女交際実習のプラン作成』や模擬デートなどの実習を経て、夜は抽選で選ばれたパートナー同士で、性生活の実習だ。翌朝には感想報告・反省会があって、かなりのスパルタ教育ともいえる。」

実はかなりの高額の参加費に関わらず、希望者殺到だそうで…


はああ!?
俺はそのままソファーにひっくりかえりそうになった。


「なんでオメーがこれいくの!?」

「だって…僕、なにも知らなくて…いろいろ相談してたら沖田さんがこれ…」
オメーみてえな愚図な眼鏡は最初はちゃんとプロに理論を習って、習得しとかねえと、好きな人が出来たときに相手を困らせるだけだかんな。

沖田からそう言われて決心したらしい。

沖田君んんん??アンタ、人んちの子になに妙なことふきこんでんの!?

「金ねーだろ!?高けえよこれ」
「沖田さんが出してくれるって…出世払いでいいからって」


沖田君んんんん!!何考えてんのおお!?



「で、新八君は行きてえの?これに」
「だ、だって…誰も教えてくれないし、このままだったら不安で」
彼女が出来たときとかどうしていいかわかんないですもの。

なんてもじもじと赤い顔して言われた。
「あ、姉上とか神楽ちゃんとかには絶対に秘密でお願いします。それから3日間、お仕事お休みするんですが」
って行く気満々じゃねえかああ!!


これ行ってどうすんだ?知らねえ女と抽選で夜チョメチョメしちゃうんだぞ!!なんも知らねえテメーがどこぞの女と…


どうせ、なんも出来なくて泣いて帰るのがオチだ。最近の女は気が強えから罵倒されたりしたら、傷ついて勃ち…ちがった立ち直れねえぞ。

というより、女にリードされてどこぞの女に新八が…なんも知らねえコイツが…女を抱いて…




俺は渡された紙をぐしゃぐしゃにしてゴミ箱に放り投げた。

「あ!何するんですか!銀さん!」


「あー」
ごほん。俺は咳払い。

恥ずかしそうな新八をじっと見る。眼鏡かけた地味な姿。地味だ地味だ。女にはもてねえよな。まるっきり餓鬼だし、彼女とかできねえよ。金出してンなとこいくのさえ無駄だ。うん。

「あのね。新八君。銀さんが今から大ー事なこと言うからよーく聞いてね」
「はい」
真剣な目で俺をじっと見つめる新八に俺はうんうんとうなずいてみせた。


「無駄だ。どうせてめえには彼女は一生できねえよ」
「呪いの言葉をあっさり吐くなーーー!!」

真っ赤になった新八に蹴りあげられた。

「だって無駄だろーが!ンなとこ行ってどうすんだ?どうせ来る女だって眼鏡だ眼鏡。眼鏡っ子だ。パチ恵だパチ恵」
「パチ恵で悪かったですねえ!」

いや、だってそうだろ?コイツがなんで知らねえ女と…

「どうぜお給料いただいていませんからね。3日間お休みさせてもらいます!」
「ダメっていったらだめだ!」
「なんで!?ずるい!銀さんなんて」
いや、そりゃあ俺はもうとっくの昔に童貞キったズルムケだけどよ。文句あっか?あん?
けどまて!新八!お前はダメだ!!

「大人になってきます!!綺麗なおねーサマが来るかも!」
「待て待てえええ!そんなん夢だ!どうせパチ恵だ!!」
「いや!行きますからね!」

こんの餓鬼!いつの間にか色気付きやがって!



いや、言っとくけど俺。そんな趣味ねえから。女好きだから。でも、ほら、沖田君に貸しつくるのも怖ええし、なにより新八にはんなことは向いてねえよ。一応保護者だしな。そういうとこまで面倒見てやらねえといけねえのかな。ああ、仕方ねえな。仕方ねえ。決して俺はそういう趣味があるわけじゃあねえからな。




仕・方・ね・え・ん・だ!!




以上はあとで考えた言い訳。

こん時は考えるより先に口から言葉が出た。

「俺が教えてやっから行くな!」
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