基本銀新2

□kiss kiss(完結)
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「新ちゃーん、機嫌なおしてよう」


哀れっぽくすがってもつんとした新八は口も利いてくれない。

たしかにアレはやりすぎた。っていうか従順な新八ってのが新鮮すぎて…なんでもやっていいように勘違いして暴走しちまったんだようー


「ちゅーしょ。ちゅー」
「うるさい」
んーと唇を寄せると、ぐぎっと首をひねられた。うお!!死ぬぞ!!


「ねえ、ねえなにしてんの?」
「…おでんの準備です」

台所にたった新八の背中にまとわりつく。

「なんで大根の端っこ取るの?」
「面取りっていって、こうやったら煮崩れないんです」

「へーうまそー早く食いてえ」


新八の首筋からイイ匂いがする。あったかい日向の匂い。人の肌の柔らかい匂い。俺はおでんの香りを匂うふりして新八をくんかくんかと犬のように嗅いだ。

「アンタ…犬みたい」
「そおお?」

「…腰!手どけてくださいよ!」
「あーごめんねえ」

といいながら後ろから腰にまわした手は外さない。細い腰を抱いたまま新八の肩に顎をのせて、「ごめんな?この間は。もう許してくれよ?」なんて哀れっぽく謝ってみせた。


「…おでんの卵。沢山いれますか?」
「おう、沢山。俺好きだわー」


冬が好きになった。今まで寂しくてひもじいばかりの冬。嫌いだった冬。寒さばかりが身に染みた冬。

今は新八と神楽と…コタツで一緒に鍋を囲んで笑いあう、湯気が立ち上るあったかい冬になった。


「神楽は?」
「定春と散歩です。もうすぐ帰ってくるんじゃないでしょうか」

あ、ちょっと態度が軟化した。コイツ怒り続けるってことができねえのな。


「喜ぶだろうなーおでんあいつすきだから」
「もう寒くなりましたもんね」


「あ、筋も沢山入れてくれよ」
「はいはい」
「あー巾着餅も!」


くすりと笑う横顔に見とれた。ああ、俺の新八。
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