沖田総受2

□ホリディ(完結)
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「うわーこの旅館、結構いい感じですねぃ!旦那!」
弾んだ沖田君の声に俺まで嬉しくなってしまう。

「土方と二人で誕生日に温泉旅館」
誤解のままに沖田君を力づくで強姦した最悪の始まりだったけれど、どういう神の采配か、沖田君とこうして両思いになれたなんて嘘みたいだなー、銀さん頑張っていい旅館さがしちゃったよ。

俺ははしゃぐ沖田君をみながら思わずにんまりと笑った。

誕生日祝いのやり直しに本当に「恋人同士の温泉旅館」に行くことになり、柄にもなくあれこれとさがしちまった。途中お登勢なんかに「良い旅館ねえかよ。」なんて口走ってしまい、またもやゴースト旅館で「千の風になって」を歌わされるはめになりそうなヤバい瞬間もあったが・・・。


「みてくだせえ!外は絶景ですぜ。」

黒光りした年期の入った柱のあるこじんまりとしたロビーを抜けて部屋に通される。趣のある落ち着く古さと清潔感がありしつらえも気がきいてしゃれた作りになっている。

沖田君の嬉しそうな顔を見ながら俺も大満足だ。
ほとんどこっちにはいねえはずなのにこういうところに妙に詳しい辰馬に聞いたのが正解だったな。
顔が広いのはさすが商人。持つべきものは友達だなってアイツといて今までろくな目にあってきてねえからな。やっとチャラだ。


部屋には青竹に囲まれた庭がついて江戸からそう遠くないっていうのに見渡す限り緑で遠くに山々が見える。そして庭には岩をくんで作った風情のある露天風呂だ。

部屋付の露天風呂・・・。これは譲れなかったね。
沖田君が喜ぶし、誰にも邪魔されないし。ま、まあ、正直スケベ心とスケベ心とスケベ心があったことは否めないがな。



「すごいでさあ。緑きれー」
沖田君がきらきらした目で外を眺める。

今日は昼までの仕事をこなしあさっての昼まで沖田君は非番だ。ずっとふたりきり。そう思うと顔がどうしても緩むのはいたしかたあるまい。

くりっと沖田君がこっちをむいた。

「旦那とふたりっきりで過ごせますねぃ。」
・・・うれしいでさ。
そういって心なしか頬を赤く染めて天使の微笑み。

日頃のドSさもなんのその、沖田君の純情可憐なストレートな感情表現に思わず胸と股間が高まった。

・・・か、かわいいんですけどぉ!!

「沖田君!」
思わず走り寄って抱きしめると
「失礼します」といって襖があけられ、沖田君が腕の中で飛び上がった。

「こちらお渡しわすれておりました。浴衣です。」
申し訳ありません。そう言って仲居さんが顔をあげると部屋の隅と隅でおもいっきり離れて互いにそっぽむいてる俺たちに不思議な顔をした。
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