沖田総受2

□昨日の夜は(完結)
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三日間、謎の男地愚蔵にとらわれ、死ぬような思いをしたってのに、全部総悟の狂言だったことが判明した最悪の夜。



俺は屯所にやっとの思いでたどり着いた。


飯も食わず寝てもない体はふらふらだ。
体のダメージもひでえが、正直心のほうがかなりきつかった。
いつもひでえ悪戯をされるとはいえ、根本的には信頼していた総悟にここまでひどい扱いをうけたことは心外だ。

総悟が糸ノコで首をかききった時のあの驚愕と恐怖。

俺ははらわたが煮えくりかえる思いだった。
なんであんな思いをしなきゃいけねえんだ。洒落にもならねえ。
今度ばかりは総悟はやりすぎだ。許せねえ。

とにかく屯所にたどり着いた俺は飯をかっくらうと風呂にとびこんだ。
そのまま水没して寝ちまいそうな体に水をぶっかけて目をさまし、総悟の部屋にむかった。総悟はあっさり先に帰っちまったようだ。

「あ、副長、休暇はどう」
言いかけた隊士が俺のにらみでびびりあがって絶句する。
…あのヤロー、ご丁寧に休暇届けだしてやがった。

「総悟はどこだ?」
低い声で問うと、
「さ、先ほど戻られて今はたぶん…」
震える声で答え、指で指し示す。

部屋か。
あのクソ餓鬼。
一体どういう了見でこんなことしでかしやがった。
寝る前に問いつめて場合によってはぶん殴ってやらねえと気がすまねえ!
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