沖田総受2
□ねこのこ こねこ ししのこ こじし(完結)
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これからどうすりゃいいんだろう…。
猫になった俺はとぼとぼと夕暮れ時のほこりっぽい道をあるいていた。
「あ、昼間のブサ猫」
聞き慣れた声。沖田君!愛しのマイスイート!
「なんでい。お前肩おとしてとぼとぼ歩きやがって…って猫に肩あるか?なで肩?」
妙なつっこみをしながらしゃがみこんだ沖田君は俺の頭をわしわしと撫でた。
…昼間、ソーセージくれなかった…。
沖田君にまた会えたうれしさ反面、空腹でうらめしげにみあげると、
「なんでいー。おま。昼間のこと恨んでんの?猫のくせにねちっこいねえ」
なんて返してくる。
「人生甘くないんでさ。黙ってエサもらえるとか考えちゃイカン。」
またわしわしと俺の頭を撫でて笑う。
「んじゃ、今日は特別に真撰組ソーセージやらあ。人生こんなことばっかだと考えんなよ。今日だけ特別…って獣と子ども相手は『今日だけ』って例外通じねえんだよなあ。」
なんていいながらソーセージを剥いてくれた。
なんか沖田君ってやっぱり不思議な子だな。猫相手に真剣に語っちゃったりして。自分も子どものくせして「獣と子ども相手は…」だって。思わず俺は笑う。
「お、笑った?猫って笑うの?チェシャ猫みてえだなお前」
え、猫の表情わかるの?すげえー。ますます沖田君って何者?
「ほら、喰えよ」
差し出されたソーセージ。
おお、腹へった!やっぱ優しい沖田君!
がつがつ喰らっている途中、ふと目をあげると優しげに沖田君が俺を見つめていた。
「旨い?」
…旨い。そう言いたくて顔をあげると、よしよしって顎をなで、そのあと髭をぴんとひっぱられた。
俺が嫌そうにすると悪戯っぽく笑うその顔の可愛いこと。
沖田君って猫好きなんだ。いまいち愛情表現わかりにくいけど。
いやあ…なんかこういう視線でみる沖田君って新鮮。妙に子どもっぽくてかわいいなあ。なんて俺はうっとりしてると
「じゃあな、またな。ブサ子」
なんてひどいあだ名つけて去っていこうとする。
まって!まって!俺銀さんだよう!!沖田君の恋人だよう!!
俺は慌てて後を追った。