沖田総受1
□幸福な日々(完結)
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「・・・で、すんのか。お前」
なんだか「あー」とか「うー」とか呻いていた土方さんが、しばらく黙って、いきなり真面目な顔で聞いてきた。
「は?なにを?」
「だから・・・なんだ・・・」
親指と人指し指で煙草を挟んで目をそばめた男っぽい仕草で顔を横に向けてふうと一息紫煙をはき出した。悔しいが、俺には真似できねえ大人の雰囲気だ。ニコチンヤローのくせに・・・。
「だから何ですかい?はっきりいいやがれ。」
なんだかむっとして問い返すとそのまま土方さんは流し目で俺に目線を投げて
「お前は一人でああいうのみて、せんずりこくのかって聞いてるんだ。」
なんて聞きやがった!
「なっ」なにききやがる!変態ヤロー。
かっと頬が熱くなってののしると
「・・・だからそんな顔すんじゃねえっ。」と
強い口調で返された。
た、たしかにこんなことでうろたえるのは餓鬼くせえのか?
「男同士なら別にいいじゃねえか。」土方さんはそういうが、俺は他人とこういう会話すんのには慣れてねえ。大抵のことには動じない自信があるが、こういう話は苦手だという事に気がついた。
「いつも飄々としてるお前がそういう顔するから隊士が色めき立つんだろうが。つい身の程知らずに手を出したくなるヤツがでてくんだよっ。」「は?」なんだかよくわからないが土方さんは不快そうに吐き捨てた。
「俺はけんかでは負けませんでイ。」
よくわからないが、剣で負けるつもりはねえ。そういうと
「ちがうっつーの!」
いきなり力強い腕の中に巻き込まれた。