沖田総受1
□幸福な日々(完結)
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「なにすんでィ!」
土方さんの胸に顔を埋めた形になって俺は慌ててもがいたが、がっしりとした腕に抱き留められて身動きもできねえ。
「はなしなせえ!」
腕の中でかぐ土方さんの煙草の香りは、なんだか懐かしいようなせつないような気持でイヤじゃなかった。でも俺の口からでた声は悲鳴みたいな声になった。
「・・・いい加減にしろよ。お前危なかっしくてみてられねんだよ・・。」
土方さんが俺の髪に顔を埋めてつぶやくのが聞こえた。土方さんの声もなんだか悲痛な響きがして俺はもがくのをやめた。
そのまま頤をすくい上げられ唇が重ねられた。角度を変えていとおしむように何度も重ねられる。
「・・・・・。」
唇を離しても俺たちは顔をつけたまま見つめ合った。土方さんはなんだか悲しいような苦しいような初めてみる顔をして俺をみてた。
「なんでキスするんでい・・・。」
かすれた声で問うと
「お前がいつか好きな女ができて所帯もって幸せになるまで、俺はお前を守るって決めたんだ・・・。誰にも手をださせねえ・・・」
土方さんが低い声でつぶやいた。
「あんた言ってることとやってることがめちゃくちゃでさァ・・・」
俺はぼんやり彼をみつめた。なんだか遠いところの話みたいに現実感がなかった。
「ああ・・・。すまねえ・・・。」
土方さんの指が俺の唇をなぞる。
くそっ・・・・。
土方さんは小さくつぶやいてまた唇を重ねてきた。
俺はなすがままでぼんやり口づけをうけていたが、ぬるりと煙草の苦みをもった舌が入ってきたとたん、ぴくりと体がうごいた。