沖田総受1
□夏の日(完結)
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「土方さんーあちーでさあ」
「うっせい お前は」
かなり機嫌悪い。なんだよう。
ずんずん街中を通り公園まで俺を連れて行く。さすがに街中で説教はしないつもりのようだ。
街中の割に結構広い敷地を持つ公園は人影もまばらだ。緑がうっそうとしげって影をつくっている木に寄りかかるとさあっと公園の横にある川縁から風が通って気持ちがいい。
「あー結構いいですねい ここ。」
吹いてくる風に心地良く顔をさらして前髪をゆらしているとじろりとにらまれた。
「なんでそんなに機嫌わるいんですかい。せっかくこんないいとこきてるんですからにこっとくらいしなせえ。」
不満そうにいってみたものの、眉をよせて俺をみてる土方さんは正直いうと相変わらず男の色気があって俺はちょっとときめいていた。
一ヶ月前俺たちはなんやかんやあって恋人同士になった。それからなんかかんやあって…いろいろしちゃったりもしたけど。
でも、俺はたまんなく土方さんに弱い。一緒にいるだけでまるで乙女みたいにどきどきしちまう情けなさ。
まあでもそんなことはおくびにもださない。
この何年間か自分の気持ちを隠し続けてきただけあって、なかなか俺もずぶとくなってる。だから仕事をさぼってた俺を怒ってる土方さんにいつも通りの態度で不満を言ってみた。
「ちょっと暑かったから休んでただけでい」「万事屋に近づくな。」「は?」
土方さんは苦虫をかみしめたような顔で俺をみた。
「おめえは何ともおもわないかも知れねえがあんなことすんじゃねえよ」
「あんなこと?」思いつかない。
「アイスあいつの手から食うんじゃねえ!」
…は?
「舌だして舐めんな!顔が近けえんだよ!」
「え?」なに?なに?
俺は意外な展開に目をぱちくりさせた。
「だいたいおまえはいっつもそうだ。隊のヤツらにもひょいひょいくっついてやがるし、お菓子くれるっていえば部屋にも無邪気にいきやがって…」
そこでぎろりと俺のほうをむいて「万事屋んとこに一人でいったりしてねえだろうな」と詰問してきた。