沖田総受1

□休日(完結)
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トイレに席を立って、戻ってくると沖田君はカウンターの並びのサラリーマン風の若い男に何か言われ、にこにこと俺以外に笑顔を見せていた。
男のやに下がったいやらしげな顔。…俺みたい。


「ちょ、なにしてんの」
あえて沖田君とその男の間に座り、
「沖田君、そっち詰めて」と俺の体でバリアをつくる。

我ながら大人げなく男の方をじろっと見てから「どしたの?」と聞くと
「あっちのお人の注文したもんがうちにきたんでさア、間違って食っちまったけど、食ってくれていいってさ。」

にこにこと笑って「それからこれもくれましたあ」鬼嫁の升をちょっと挙げてみせる。
…おいおい、いくら安心してもここまで無防備になっちゃいかん。

「あれこれ知らない人にものもらっちゃだめだよ」というと、
「いい人でしたあ」と沖田君は暢気にぐっと酒をのんだ。
「なんだか、この世の中 悪い人がいないような気がしまさあ」
…ってそれ酔っぱらい特有の考えだからね!







「うーん。ちょっと酔いましたア」
「いや、ちょっとじゃないでしょ」

沖田君の心なしか赤く色づいた唇から細いちっちゃな舌がぺろりと出た。おちょこのお酒を猫みてえになめ取る姿をみて、不覚にもずくっと腰に来た。
こんなことで盛ってるなんて俺は中坊か?


今日は、もちろん屯所には帰さないつもりできたんだけど、ああ、もう早く切り上げてどっか連れこみたい。
しかし万事屋は神楽がいるしな。でもホテルとか沖田君いやがるだろうなあ。もうちっと飲ませてうやむやにして連れてこむか…なんて頭の隅で浅ましく考えてつつ…。

「沖田君今まであぶないことなかったの?」
あまりの警戒心の無さについ聞くと、案の定「危ないって?」ときょとんとした顔で返事。

「変なヤツに変なことされたことないの?」
重ねて聞くと、「そんなのありゃしません。あ、でもな−んにも知らない俺にあれやこれやと変なことしたのはここにいまさあ」

って俺か?!苦しいこところをついてきた。
「ご、ごめんね。」思わずヘタれると
「恥ずかしかったけど嫌じゃありませんでしたぜ。」
なんて日頃の沖田君がいいそうにないことさらりといってきた。や、やっぱ酔っぱらい!?


「それって俺の事が好きだからでしょ?」調子にのって聞くと、いつものように照れの鉄拳が飛んでくると思いきや、
「そうかもしれませんねえ、」
とほほえんで俺の顔をのぞき込んだ。


それから目元を朱に染めて色っぽい顔でこういった。




「今日も抱いてくれんでしょ?」




…絶対酔っぱらいだああ!!
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