沖田総受1

□第二百五十三訓「人はとじこめられると自分の中の扉が開く」後日談(完結)
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「だめでさ。これ警備につながってやせんよ。」

あれこれ階数パネルや非常ボタンをいじってた沖田君が途方にくれたように振り返った。

「あーそう?」
「ちょっと旦那!暢気にかまえてねえで、なんとかしてくだせえ!」
「いや、まあ、んー。」

沖田君に言われて適当にパネルをいじってみたが、「よくわかんね。」と早々にあきらめると沖田君ががくっと頭を下げた。


「まあ、しばらくしたら動くんじゃね?」頭をぼりぼり掻いてそう返すと
「そんなんわかんねえじゃねえですかい!」ときっと睨まれた。

あれれ?沖田君ちょっとイライラしてる?どんな時も飄々としてんのに珍しい。
対する俺は沖田君と密室に二人きりってだけでちょっと儲けモンだとうかれてるとこだ。

飲み屋街だ。どうせ夕方には人が来る。それまでじゃまされずに二人でいれるなんてめちゃくちゃラッキーだぜ。

万事屋にはいつもチビッコ二人がいるし、沖田君はしばらく大がかりな捕り物で忙しくてこうして二人っきりでいることなんてここ数週間なかったことだ。

「ね、沖田く」肩を抱こうとすると
「だめだ。携帯の電波も入らねえ。」
するりとさりげなく俺からぬけだして携帯をチェックした。
あれ?今俺避けられちゃった?

「普通警備のカメラとかあるはずですがねえ。ここのセキュリティありえねえ!」
そういってドアを叩く。

「ちょっと!誰かいやせんか!?おい!さっさと開けねえとぶったぎるぞ!警備切腹でぃ!」
物騒なことを叫びながら今度はドアに蹴りを入れる沖田君。

オイオイそんなこと言われたら救援だってきたくなくなりますよう。

「まあまあ、沖田君落ち着けよ。どうしたの?妙にあせって。」
ホント、珍しい。
そういうと沖田君が何故かこまった顔して俺をみた。



「ねー、あせっても仕方ないからさ。ちょっと二人でまったりしようよ。」
ひさしぶりじゃん。誰にもじゃまされない二人きりの空間とか。さ。

そういってドアに張り付いた沖田君の肩に手を乗せると、「う、うん」と沖田君がこっちをむいて上目遣いで俺を見た。

「旦那と一緒に居られるなら普通はこういう状況、大歓迎でさ・・・」
わ、かわいいこといっちゃって。ん?
「普通?今は?」
「・・・・・・・」
ちょっとお。黙っちゃうとよけい気になっちゃうじゃないのよう!

「いや、なんでもありやせん。」
「気になるなあ」
なんて言いながら、壁にゆっくりと押しつけた。

「キスしていい?」
柔らかい髪を撫でてそう聞くと、「いっつも聞かずにするくせに。」なんて可愛く睨んできた。

それから背伸びしてちゅっと俺の唇に唇をあてる。
「へへっ。俺からしちまいました。」
俺の首に手を巻き付けてにっこり笑う。ぎょえ!か、かわいい。


「もーちょっと、あんまかわいいことすんじゃないのー」
そういってその細い顎を捉えて唇を重ねる。柔らかいその唇。沖田君もすり寄って俺のキスに応えてくれる。

犬みたいに鼻をこすりあわせて囁く。
「沖田君、好きだよ。」
「俺もでさ。・・・旦那。大好き。」

甘い恋人同士の時間。紡ぐ言葉も甘く優しく。
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