沖田総受2

□次の朝には@(完結)
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「お前何読んでんだ?」

珍しい。
うつぶせて枕に顎をのせた怠惰な格好で文庫本をめくる総悟。

「志ん生傑作落語選。」
「相変わらず渋いな」
「『酒しか飲んでねえのにクソが出やがる』とかこういう破天荒な生き方してみてえな」
…いや、お前十分破天荒な生き方してやがるぜ。


後ろでページをめくる気配。

「線香2本ってなんですかい。」
背中を向けて文机で仕事をしている俺に総悟が聞いてきた。
おっと、遊郭ものか。

座ったままで振り返ってみると総悟が寝転がったまま顔をあげて俺をみてた。

「チョンの間でヤっちまうことさ」
線香一本燃え尽きる間に事を済ませてなんぼ。
はっきりいって突っ込んで出すだけのヤツだ。

「なにを?」
あーコイツ落語読んでてそれしらねえのかよ。
「ナニをだ」

「?」って感じで総悟は俺を見ていたが、腑に落ちたようでちょっと赤くなった。
「…そんなに早えんですかい。」
「まあ、出しゃいいだろって感じのヤツにはな。」
ちょっと総悟には生々しかったか。

「…アンタもそんなとこいく?」
「まさか。あんなとこは性病だらけだ。だいたい俺は突っ込むだけじゃつまらねえ。」
「ふうん…」
なんか妙な話になっちまったな。

俺は筆をおいて、総悟の傍によって、文庫本を取ってぱらぱらとめくった。

「ははっ。客に長居させようと手管つかう遊女とそれに嫉妬する旦那の話か」
「アンタは長居すんの?」
じっと見上げる目。

「あー、まあ。普通だ普通。」

「普通って?」
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