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□君の涙に約束すること
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とある朝、隣で静かに寝息を立てているユチョンを起こさないようにユノはそぅっとベッドを抜け出した。
まだユチョンが目覚めるまでには時間があるなと時計を見やってからユノは朝市に買出しに出かけた。
昨日、真っ赤に熟れたイチゴを<可愛いね>と瞳をキラキラさせて呟いたユチョンに、朝摘みたてのイチゴをどうしても食べさせてあげたくなって。

「ユチョン、喜ぶかな」

目覚めるまでに部屋に帰らなきゃ。
ユノは通り慣れた家路を一目散に駆け出した。

まだ目覚めてないユチョンをどうやって起こそうか。
普通に揺り動かして?
アラーム鳴らして?
それとも・・・
甘いKissで起こそうか・・・?
眠っているであろうユチョンを起こさないよう静かに部屋の扉をあけるとベッドの傍らに小さくなってうずくまり、天上を見つめているユチョンの姿が視界に飛び込んできた。

朝日に輝く部屋の中のユチョンはとてつもなく美しい生き物に見えて暫しその姿に見とれていたユノはユチョンの白く透き通った頬に静かに流れ落ちる涙に気が付いた。

「ユチョン?」

小さな声で呼びかけるとユチョンはゆっくりとユノの方へ顔を向ける。

「ユノヒョン?」

ユノの姿を捉えた途端、ポロポロと涙をこぼすユチョンにユノは慌てて駆け寄った。

「おい、どうした?何があっ・・・」
「・・・・よかった・・・」
「え・・・?・・・何が・・・?」

そう言ってユノのジーンズの裾をぎゅっと掴むユチョンにユノは戸惑いながらユチョンの目線の高さに合わせるように膝をついた。

「俺・・・ただ眠っていただけなのに、いつの間にか変な映画みたいな世界の中にいて・・・その中でヒョンが<もうお前とは一緒にいられねぇ>って・・・・俺をおいてどこかへ行ってしまうんだ。
そんなの嫌だって思ってヒョンの名前呼ぼうとしたら目が覚めて・・・
そしたらいつもの部屋なのにヒョンだけいなくって、それで俺、<やっぱりさっきのは本当だったんだ>って。
そしたらどうしたらいいのか分かんなくなっちゃって、寂しくって、怖くって・・・ただ涙が溢れてきて・・・」

そう言ってユチョンは膝の上で組まれた両腕に顔を埋めてしまった。
安心させるように腕をまわした肩は小さく震えていた。

「ば〜か。俺がお前置いて出て行くわけねぇだろ?」

ユチョンの髪を大きな手でクシャクシャとかき回しながらユノは小さな子供に言い聞かせるように優しく言葉を続けていく。

「そりゃ<夢>だろ?見たの初めてか?」

「<夢>?」

まだ涙の止まらない濡れた瞳でユノの言葉に不思議そうに顔を上げる。
夢を見た事ないのか?
少し驚きながらもユノはユチョンを安心させるようにニッコリ微笑んだ。

「不安に思ってる事や希望なんかが眠ってる時にカタチになってでてくるんだ。誰でも見るもんだよ。」
「<夢>・・・」
「そうだよ。
・・・そういえばさ、昔見た映画の中で小さな女の子がさ、母親に言われてたな。<怖い夢を見ても神様にお祈りして眠れば平気>って。」

いつの間にか涙も止まり、ユノの話に耳を傾けるユチョンが愛おしくってたまらなかった。
涙の跡にそっと唇を寄せて優しく口付けた後、そうっとユチョンを抱きしめた。

「でも、俺がこれからお前を守るから。もう、そんな夢は見なくていい。」

ユノの言葉にユチョンは小さく頷いてユノの胸元に額を摺り寄せる。


生まれてこのかた神様に感謝こそすれ、個人的なお願いで祈ったことなんて無いけど・・・
一つくらいは願い事を聞いてくれるだろうか・・・・?



こいつと  いっしょに  いられます  ように






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