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□素直になれなくて
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煌めく夏の陽が鋭く射す昼下がり。
疲れ知らずの青年の焼けた素肌が汗で光る。
「ふー、あちーっ!!」
ジェジュンは水道の水を思いっきりひねりだし、勢いよく頭から被った。
弾ける水しぶき。
流れる水が焼けた肌から熱を奪っていく。
吹き抜けるそよ風が濡れた肌に心地よい。
気持ちよさ気に瞳を閉じて空を仰ぐジェジュンにゆっくりとした足取りが歩み寄った。
足音の主を見遣るとジェジュンは上機嫌で声をかけた。
「よ〜、チャンミン、お前も水浴びる?」
「結構です。」
子供じみた・・・とでも言うように、チャンミンはジェジュンを一瞥した。
「どっち飲みますか?」
後ろに隠していた手から、二本の缶ジュースを見せる。
「サンキュー!俺、どっちでもいいよ、好き嫌いないし。」
手にしていたのはファンタオレンジとメロンソーダ。
少し考えてチャンミンはメロンソーダを差し出した。
嬉しそうに受け取ったジェジュンは開けたと共に凄い勢いで飲み干した。
ジュースを飲み込む度に上下に動く喉元に視線を反らせずにいるチャンミン。
首筋から胸元に流れ落ちるそれは頭から被った水滴か、汗か・・・・
無意識のうちに見つめるチャンミンに気付いているのか、いないのか、ジェジュンはお構いなしにジュースを咽に流し込んでいく。
「ぷはーっ!旨い!チャンミン、サンキュ。」
ニカッと笑うジェジュンに半ば呆気に取られたチャンミンだった。
何故なら、自分はこれから缶を開けるところだったから。
「チャンミン、それ、美味しそうだね。」
「これは僕のです。」
「分かってるって。」
そう言いながらも、目線が缶に注がれている。
ジュースを狙うジェジュンに背中を向けて一口飲むと口の中に冷たさが広がり、その心地良さに目を細めた。
「うまい?ど?」
「あげませんよ。」
「一口!」
「駄目です。」
「お願い!」
「嫌です。」
本当は<どうぞ>と言いたかったのに。
けれど素直になれず、つい意地を張ってしまう。
「お願い。チャンミン、愛してるから。」
「っ!」
冗談だと知りながら、心臓がドキリとした。
屈託のない綺麗な笑顔。
なんてジェジュンはキラキラと眩しく笑うんだろう。
「何が愛してる・・・ですか・・・ジュース一つで・・・冗談じゃないですよっ。」
「マジマジ。ほんと、愛してるって、チャンミンってば。」
そういって腕を絡ませてくるジェジュンを無視してチャンミンは再び缶に口をつけた。
物欲しそうな顔で自分を見るジェジュンを尻目に咽を潤す。
「チャンミン、チャンミン!ほらっ、飛行船が飛んでるよ!」
急に上を向いたジェジュンにつられて空を見た。
抜けるような青。
雲一つない単色の空。
「あっ!」
隙をついてジュースを引ったくったジェジュンは、残りを全部一気に飲み干してしまった。
「ちょっと!」
「へへ〜、ご馳走さん。美味しかったぁ!」
悪戯っ子の微笑み。
チャンミンは悔しそうにしている。
「・・・・僕、今その中に唾入れちゃいましたけど。」
「えぇ〜っ!飲んじゃったよー!ひぇ〜〜〜!」
それがチャンミンの嘘だとは知っていた。
が、ここはチャンミンに勝ちを譲った。
チャンミンから遠く離れてからジェジュンは小さく呟いた。
「間接Kiss、成功・・・!」
抜けるような、雲一つない真っ青な空。
一筋の飛行機雲が、ジェジュンの想いを空に描いていた。
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