*赤ずきんパロ*(ロイアイ)
「というわけで結婚しよう」
―………何が「というわけで」なのだ。
リザは何度目か分からないプロポーズを受けた。
きっと多分、彼は真剣なのだろうけれど、信じろと言う方が無理だろう。
「いい加減にして下さい。私は誠実な方が好きです。貴方が誠実とは到底思えません」
「こんなにも君を愛しているのに?」
「貴方の『愛』は不特定多数の女性に捧げられていますでしょう」
「今は君だけだ」
そんな台詞は聞き飽きた。
その言葉ほど胡散臭いものは無い。
「第一、貴方は狼、私は猟師です。私たちが相容れることなど不可能です」
「そんなものは関係無いだろう」
「あります。私は元々、貴方を殺すためにこの森へ来たのですよ。そんな相手とよく生涯を共にしようなどと思えますね」
彼は口を開かない。
やっと、自分の立場に気づいたのだろうか。
ならばそれで良い。
私と貴方は相容れることは出来ない。
それは私たちの運命。
「もう私に纏わりつくのは止めて下さい。迷惑ですから」
そう言うと、リザはクルリと向きを変え森の奥へと去っていった。
。
そんな二人の重々しい雰囲気を影から覗いていた者が居たとは、当事者は気づく由も無い。
ロイはしばしの間その場所に立ち尽くしていた。
続く。
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