白春×機関銃
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『分かりました、緑さんの趣味はメイド虐めですね。じゃあ私はこれで「あはは、何言ってんのかなこの子は」…すみません』
笑顔の緑のバックに黒いオーラが見えた私は蚊の鳴くような声で謝った
ーいやでも、その性格でこの場所に来た貴方にも非はありますよ…
店のドアを開けると出迎えてくれたのはメイドさん
あのお決まりの台詞を聞いた私は硬直した
そして、何やら常連みたいで親しげに話す彼を見て、元々帰りたかった私はさらに帰りたくなりつい言ってしまったのだ
「何言ってるんスか、坂本さん。確かに緑さんは虐めるの好きですけど俺にだけっスよ」
『えっ!?』
「はいはい、真に受けないの。ふじもんも、そんなに殺して欲しかったの?」
「はい〜!、自分、緑さんに殺られるなら本望っス!////」
「そこは否定しろよ、っつかいつまで入口立ってる気だ」
明らかになった藤本の性癖、そして意外に男勝りなメイドに私は驚きっぱなしだった
「あいかわらず君は乱暴だね」
「今さらだろ、ほい、メニューな」
『あ、はい…』
席に案内したメイドはメニューを私に渡して行ってしまった
『(あれ…?)』
去っていくメイドの腰には銃が装着されており、私は改めて店内を見渡した
メルヘンチックな店内だが壁には色んな種類の銃があり、ゲームで見たことがある銃もいくつかあった
「坂本さん、早く席に着きなよ」
緑の声に振り返ると二人はすでに四人席に座っていた
『あの、ここって…』
「教えてあげるから、ね」
『はい』
言われるまま、私は緑と向かい合う席に座った
説明してくれると思いきや、メニューを指差し選びなよと言われ、私はナポリタンでと言った
「飲み物も頼みなよ、俺が出すから」
『え、いいですよ水で。この前も奢ってもらったのに』
「気にしないで、誘ったのは俺だし、ね」
『…じゃあ、麦茶でお願いします』
うんと頷くと、すぐに店員を呼び緑が私と自分の分を言い、最後に藤本が言った
メニューを見てないのに頼んだ二人に私は本当に行きつけなんだなと思った
「見ての通りここはただの喫茶店じゃなくて、偽銃(トイガン)っていう銃の玩具で遊べる店だよ」
『偽銃で…』
「サバイバルゲームって知ってる?」
『あ、はい。実際にやったことはないですけど…、その…』
緑だけなら言えたが斜め前に座る藤本には言えずに言葉を伏せた
何を隠そう私が今ハマっているゲームはサバイバルゲームをリアル化した銃だけの戦争ゲームなのだ←対象年齢15歳以上
「サバゲーを知ってるんスか?!、凄い偶然っスね!」
『サバゲーって言うのですか?』
「うん、長いからね。実際のサバゲーは狭すぎて出来ないけど射的ゲームが出来るんだ」
『へぇ、じゃあ緑さんの趣味はサバゲー、ですか』
「そ、隣にいるふじもんもね」
「はい!、緑さんがリーダーで俺ともう一人の女の子の三人でチームを組んでやってるんスよ!」
アホ毛をピコピコ揺らしながら嬉しそうに話す藤本
『三人で、ですか…?』
「うん、三人以上いないと参加出来ない大会があってね。もちろん人数合わせが理由で組んではいないよ」
二人は大切な仲間だからねと緑が言うと藤本はさらに喜んだ
『大会まであるんですか…、病院の先生でありながら凄いですね…』
「あはは、そんなことはないよ。楽しいからね。それに…」
『それに?』
間を開ける緑に首を傾げると、緑は意味深な笑みを見せ…
「君もきっと楽しいよ」
と言った
『は?』
「お待ちどー」
「あ、来た来た」
「もうお腹ペコペコっスよー」
訊ねる間もなくランチに手をつける二人に私はきょとんとした…
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