迷宮リセット

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「あははっ、それで病室に入るのを躊躇ってたのね」

『……病室にいないお姉ちゃんが悪い』


微妙な空気の中、彼はお医者さんの検査を受け、問題ないと判断され改めて話をすることになったが居心地が悪い


「とてもお姉さん想いの妹さんですね」

「分かります?」

「えぇ、病室を開けた彼女は髪が乱れて上着のボタンもかけ間違えているので」
『えっ、わ、今もだっ!』


立ち上がり病室にある鏡の前に立ち、髪を手櫛で直し、上着のボタンを正していると二人に笑われた


「でも本当に良かったです。大事に至らなくて」
「えぇ本当」

『……』


初対面なのにお似合いだなぁなんて思いながら戻ろうにも二人の中に入れず少し淋しい気持ちになり、私はそれを紛らわすようにドアの方へ歩いた


「璃緒?」
『私、飲み物買ってくるね。お姉ちゃんはコーヒーだよね?、諸星、さんもコーヒーでいいでしょうか?』


視線を合わせづらくて下を向いたまま聞くと二人とも短く返事をしたので私は財布だけ持って病室を出た



「また、無理させたかな…」

「…大丈夫ですか」
「あ、ごめんなさいっ、今のは忘れて下さい…」

「……」


笑って誤魔化す彼女に諸星は深入りせず体勢を戻し天井を見た

その瞳は黒を宿していた


ーー“科学者の姉妹は一人だけのはず、彼女は何者だ…?”





ーー




それから明美さんは時間があれば面会に行き前よりも楽しそうだった

私は初日しか行っておらず、彼が退院した後も明美さんから話を聞くくらいで交流を絶っていた


『(運命の相手を邪魔したくないと言えば聞こえはいいけど、実際は…)』


ー私の計画を彼にバレるわけにはいかない



明かりを付けず真っ暗な自室で携帯を取り出し文章を打った


ーー異常なし、引き続き監視を続行するーー


ピッ、ポッ、パッ…



送信先のアドレス音は原作でお馴染み、七つの子…



『(ごめんなさい…)』



私は主人公の味方になれそうにない…


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