迷宮リセット

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ーー



赤井は宮野姉妹と関わることで組織の尻尾との接触を果たし、組織の仲間になることに成功した

組織からのメールに目を通した彼は携帯を閉じ、指定された場所へと向かう


「……」



ー真っ直ぐと見据える瞳が宿すのはあの日のこと…





ー倒れた璃緒を連れ帰り、リビングのソファに寝かせた後のこと


“…聞きたいことがある。眠る前の彼女はとても脅えていたが何か心当たりはあるか?”

“何のことかしら”

“黒ずくめの奴ら…”
“っ!!?”


酷く動揺する明美に赤井は確信した


“……最近何度か尾行されているのだが…、その様子だと奴らと関係があるようだな”

“……ズルい人、私達が組織の監視下にあることを知ってたのね”


諦めたように璃緒の眠るソファの下に座り込む明美

だが、まだ話すべきか迷っていた


“…この家に盗聴の類いはない。交換でもいい、話してくれないか”

“っ…交換?”

“俺にお前達の裏を話す代わりに、それ相応の対価を払う”


唐突すぎる条件に承諾するか迷う明美

だが、一人では知ることが出来ない真実が明美にはあった


“……わかったわ…、私が話すこと、私の交換条件を誰にも言わないことを約束出来るなら…”

“あぁ、約束しよう…”


こうして赤井は宮野姉妹の秘密を知るのを条件に、明美の頼みを聞くことになった…




「(今夜11時になる直前に璃緒の携帯に電話、か…)」


ー恐らく、11時に璃緒が誰かと電話をすることを彼女は知っていた

その電話の相手と璃緒は以前から繋がっていて、邪魔をするとどうなるのか試した

だとしたら…



「……」


前方に人の気配がし、視界の隅に捉えた

いつもなら歩く一般人に気を止めないが、見覚えのある人物に赤井は身を潜め足音を立てずに近付いた


「(動き出したか…)」


道路に出た所で追っていた人物は停まっていた黒い車に乗り、速いスピードで遠ざかっていった




ーー




「何か気になるものでもあったか?」


流れる景色へと目を向ける私に、運転している黒いスーツの男が訊ねる


『いえ、知り合いがいた気がしたけど、気のせいだったみたい(まさか、ね…)』


ー赤井さん、いや…諸星さんが見えた気がした


私は淡い期待を振り払い、視線を戻して気になっていたことを聞くことにする


『それで、今回呼び出したのは誰で私を何処に連れていくの?、メールには待ち合わせ場所以外何も書いてなかったけど』

「直にわかるさ」

『そう…』


嫌な予感しかせず、私は気を紛らわすために再び窓の外を見た


ー歩道を歩く幼児を連れた家族は幸せそうに手を繋いでいた…



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