main〜if-you-need〜

□生徒会企画 編
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Side 藤原


榛名先輩に連れられてオレは体育館から逃げ出した。本館の横を警戒しながら通り抜けると第一グラウンドでのドロボー狩りがひと段落付いた所だった。

このひらけたグラウンドですら捕まった奴もいたらしく何人かがどこかへと連行されていった。そういえば捕まった奴の待機場はどこだったっけ?


「特に発表はされては無いな。つけてみるか?」

「いえ、捕まらなきゃいいだけなんで。いいです」

「強気だなー」


オレの言葉に先輩がニヤリと笑った。
体育館を出てから、先輩はどこかへとメールを送っていた。恐らくオレ以外の誰かともチームアップして情報戦をしてるのだと思う。

仲間なのだから情報を共有して欲しいと思いつつ、何かしらの思惑があるのかもしれないと口には出さない。

倉科に紹介してもらった手前悪し様には言えないけども、倉科の周りの奴は少しきな臭過ぎるとオレは思う。オレはまだ生徒会でも無いし、この学園に来て日も浅い。
色々なことがあって、慣れた部分もあればまだまだ不可思議な所も多い。

倉科の周りはその不可思議をわざわざ集めたみたいだ。

生徒会があって、人気者がいる。そしてそのファンクラブがある。
ここまではまぁそうなんだで済ませられる。変な風習だけど、理解はできる。

そこから少し離れた妙な所に倉科はいる気がする。
それが何なのかまだオレには分からないけど、分からないことが凄く怖い。

そんなことを考えつつ周囲に警戒を払ってると、視界に嫌なものが入った。


「げっ!」

「どうした?」

「ケーサツです。逃げましょうっ!」


クラスメイトで友達の原田義直だ。
陸上部で脚が早い、今回のイベントの警察役の一人。

友達だけど、友達だからこそ、原田が手を抜かない事をオレは知っている。

一度校舎の中に入って上を目指してみるか、どこかに隠れるべきか。そんな迷いすら今は命取りだ。
オレが決断できずにいると、先輩がオレの手を引いた。


「こっちだ」


本館の周りをぐるっと回り、向かったのは体育館のある方。
そこには丁度、体育館で逃げ切ったドロボーが出てきたところだった。


「テキトーになすり付ける」

「ウスッ」


人混みはケーサツを連れてきた俺たちを見てあからさまに嫌そうな顔をする。そんなことされたらオレだって嫌だ。
でもコレはゲームだから仕方ない。

オレと先輩は人混みの中をくぐって第2グラウンドの近くまで来た。

その頃にはさすがの原田も追っては来ておらず、恐らく他のドロボーにターゲットを変えたのだろう。


「ふぅ……上手くいきましたね」

「だな。あのおっかないケーサツはお前の友達か?」

「はい、陸上部の超強ぇ奴です」

「ほー」


オレと適当な会話をしながら、先輩はまた携帯を弄っていた。


「ここからなら第5校舎が近そうだな」

「了解です」


何が近いとは言わないけれど、まぁ恐らく宝の位置を先輩は把握しているんだろう。たかがゲームにどんだけ力を入れてるんだと思わなくも無いけれど、企画する生徒会側の努力を知ってるから、オレはこうして全力で楽しんでる人がいるのが少しだけ嬉しかった。












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