main〜if-you-need〜

□第一章
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高校初日、入学式も終わりクラス活動で役員決めをする時、教室に入って来たのは素敵なネクタイの眠そうな美形だった。髪は茶色のボサボサで一応スーツ、しかしそのネクタイは世界の子供達が民族衣装を身に纏い手を繋いで笑っているというもの。

何処で買ったのソレ?

新学期一番にクラスの心が一つになった瞬間だった。

「担任の東藤だ。一年間このクラスを受け持つ事になった。テメェ等、面倒事だけは起こすな。以上」


ソレだけ言うと東藤先生はドカッと教員用のイスに座って眠りだした。

寝不足か?

どうしようもなくなった教室は軽い無法地帯となって騒ぎだす。

ざわざわざわざわ


「……」


ざわざわざわざわざわざわざわざわ

「……」


ざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわ

「ーっ!!」


煩いのが嫌いな俺には我慢出来ない空間。苛立った俺はつい……前に出た。


「えーと、新参者が仕切って悪いんですけど担任が機能しないようなので役員決めをしたいと思います」


その時のクラスメイト達の顔は面白い程にポカンとしていたがざわつきが収まるにつれてだんだんと事態を把握したようだった。
俺は頃合いを見計らってクラス全体を見ながら口を開いた。

「ちなみに俺は外部からの新入生の倉科誠です。以後お見知りおきを」



・・・



「では、最後にクラス委員を決めたいと思います。誰か立候補、推薦ありますか?」


特に問題もなく最終項目にまで行き着いた。が、ココが難関だ。
クラス委員というのは他学年との関わりも無ければコレといった得点があるワケでもない。雑用係だ。いくら教員が格好良かろうとそんなものやりたがるハズなんて……。


「はい!」「はい!!」「僕がやります!」「俺俺っ!!」


……あった。この学校嘗めてたぜ。
まさかの事態だがまぁ、嬉しい誤算ってヤツだ。

俺は手を上げた奴の名前を黒板に書いていく、一通り書き終えた所で前を向いたのだが……。


「先生……教員は役員にはなれませんよ?」

「馬鹿か、んな事わかってるわ。推薦だ推薦」

「あぁ、そうでしたか。で、誰ですか?」


先生の推薦なんてほとんど決定な気もするが……。


「倉科、お前やれ」


いっそのこと指名ですか。大変ですね、倉科さん。御愁傷様です……って、あれ?


「どこの倉科さんですか?」

「このクラスに倉科はテメェしかいねぇだろ。倉科誠」


……ですよね〜。
嗚呼、今年一年は先生のパシりか。
やりたがってた奴、悪いな。何なら今すぐ変わってやりてぇよ……。



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