偶然と必然
□SEASON3
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卒業して数日後、俺は親父から連絡を受けた。
何でも卒業祝いにパーティを開くから香坂さんも連れて来いと言うのだ。
何で凛まで必要なんだ。
凛の事を最初に話した時はダメだの一方通行。
名前を聞かれて言うと雇えとの命令口調。
あの人は何がしたいのかわからない。
いつも仕事で、会社の社長だからそうなるのはわかる。
家庭を顧みず、仕事一筋の両親。
そんな親をずっと見ていた。
屋敷の人間に育てられた姉貴は、最初から一ノ瀬を抜けたかったという。
窮屈で息が詰まる家に居たくなかった。
姉貴が医学の救急に入った後、俺には今まで何も言わなかった親が急に言いだした。
作法から、勉強から、運動から、学校までもだ。
一ノ瀬の名前を使って、公立の高校から日向森学園へと移された。
俺は、要らない子から要る子へと変わった。
一ノ瀬の人間になる前に凛に逢えた。
凛をあの親たちに絶対会わす気はなかった。
会わさなくてはいけないのか?
会わなくてもお前らの息子は大丈夫だろう?
何で凛の事を気にするんだよ。
契約をして1年と半年の月日が流れた。
アイツと出会って2度目の冬から春の季節。