はつ恋
□第5章
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:高校3年生 冬:
季節は流れて寒い季節になりました。
AO入試も受けて進路を決めた人、
公務員試験を受けて公務員になった人、
そしてこれから一般試験を待ち望む人もここにいた。
「……貴方、余裕ね?」
「余裕じゃないけど、学校で居る時くらい自由にさせてよ」
大学生が二人も家に居るから、帰ったら即行で家庭教師だ。
おかげでTVを見る時間も読書する時間も失っている。
「……推薦使えばよかった」
「後悔もと暗しよ。諦めなさい」
志保は推薦で大学を決めていた。
私はというと、公募入試を受けて落ちていた。
今週末AO入試を受けることになっていた。
「そういえば瀬野くんは決まったの?」
「……秘密よ、一応個人情報」
志保は瀬野くんとの付き合いだした馴れ初めを話してくれたことは一度もない。
もちろん、聞いたことも一度もない。
聞かなくてもいいことだと思っていた。
でも、聞かなきゃいけないこともあるってことに気がついていなかった。