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□第一楽章:前奏曲U
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何故こうなっている……

…俺の名前は松野江悟司。分けあってこのニコリチヴィール学院に編入し、チェロを学ぶ19歳。
そして、俺の傍らに居る一人の女…

御坂愛実

「悟司さんとまさかコンッチュア組めるなんて…!やはり運命でしょうか?!ぐふっ…」

夢見がちな女だな……
否、妄想するただの馬鹿と言った方が適当か?

二人が居るのは学院本館内の自主練習室。

今日から新年度がスタートし、コッピアになった者同士、顔を知るということで授業が行われていた。

自主練習室には二人以外にも居て、ひそひそと話声がする。

「あそこにいらっしゃる、御坂さん、松野江先生の養子とコッピアになったそうでよ。」

「まあ…可哀相に…男性の方となんてきっとまた松野江さんが無理やり…」

また、あの話か………

自主練習室に来る度この事しかないのか?ここの生徒は……。

半ば呆れながら終わることの無さそうな御坂愛実の話に云々と付き合わされていた。

「…で、ですね!!私が昨日お会いした、異人の方…お会いしたいのですが、松野江さん知りませんか?」

…異人……??
そんな奴居たか…?

頭にハテナマークを浮かべているとすかさず愛実がフォローした。

「あぁん…っと、灰色ががった髪が素敵な方で…!」

両手を命一杯振って必死に訴える。

『さぁ…??僕、あんまりこの学院の生徒さんとは交流ないですから…』

「へ…?何故、何故ですか?」

『外に出ることあまり許可されてませんし…』

そう言って少しだけ笑う。

…あまり聞いてはいけないお話でしたのでしょうか……?

松野江さんが知らないとは思えないような…とても、インパクトの御強いお方でしたのでてっきり私……

「其処の貴方!!昨日の迷子ちゃんですわね」

キンキンと猫のような声が耳に入った。

「へっ?」

慌てて振り向くと昨日会った、灰色がかった髪の毛をした昨日の少女だった―――






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