Memoria

□39:捨てられた少女
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「寒流小剣術――赤梅」





















針剣と短剣の攻撃が椛を襲う。
椛はそれをかわすが、
それでもその後には銃か剣の攻撃が待っている。
その攻撃の絶妙な組み合わせが、じりじりと皮膚を絶つ傷となっていく。






















「はぁ…」
























紅葉には服一枚傷ついている様子がない。
それは圧倒的な実力を示していた。
















(…あんなに強い)




















剣だけで収まることなく銃、針剣、短剣など
あらゆる分野に手を伸ばし、あらゆる戦いで成績を残す。





















「俺のこの刃と牙はすべてXANXUS様のために」

























そして、全ての忠義はXANXUSへ。
これだけ大地の守護者としてふさわしい人間も居ないのではないか。

椛は心の奥深くでそう思った。























(でも…なんで…)



























右京家に嫌われている身で、
どうやって右京家の剣技を学んだというのだろうか。

それに寒家の小剣術。
簡単に学べるものではないはずだ。
























「教えて、紅葉ちゃん




どうしてそんなにお父さんを恨むの」
























椛の言葉に紅葉は手を止めた。
その時の目はあまりにも動揺しているように見えた。























「…お前は、本当に知らないんだな」
























そうつぶやいた紅葉は、
ゆっくりと刀を鞘へ納めるのだった。
























――――そうだ、



始まりは…――――






















思い出した。















始まりは…


あの夕日の日…―――――
























39:捨てられた少女


























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