Memoria

□53:幻影操りし者たちの闘い
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「Il mio nome e' Chrome
(わが名はクローム)」








「Chrome(クローム) 髑髏」
















六道骸とは似ても似つかない少女。
同じなのは、髪形くらいだろうか。
あの独特の、南国果物を彷彿させる髪形の少女は静かに歩いてきた。
こつこつと彼女のはいているブーツが音を立てる。














「クローム…ドクロ?」
「ん?誰だ?この女子は…」
「ツナの、知り合いか?」

「……六道骸、とは違う…んですか?」















他のメンバーすら驚く。
もちろん、ツナ自身も驚いている。
この二人が連れてくるとするなら、絶対に六道骸のはずだ。
しかし、この少女は違う。
ツナも「六道骸じゃ……ない……?」と目を見開いたまま固まった。















「だまされないでください!!
そいつは骸です!!」
















獄寺は強い口調で、ツナを現実へ引きずり戻そうとした。
確かに、見た目は六道骸だが。














「骸が憑依してやがるんです!!
目的のためなら手段は選ばねえ!!あいつはそういう男です!!」
















獄寺のその言葉に、クロームは目を見開いて、悲しそうな顔をした。
そして、ツナへ視線を送った。
静かにつぶやいた。














「信じてもらえないのね」
「ったりめーだ!!10代目!!あの武器を見て下さい!
それに、眼帯で怪しい目を隠してる!!」




「六道骸じゃ……ないよ……」















ツナは何か直感にも似た何かで口にした。
自らの意思とは別に。
この子は、六道骸じゃない。
素直にそう思えた。













「そ…そーなんスか!?」
「いや、あの…なんとなくだけど……」














椿も驚いていた。
確かに見た目は六道骸に近いし、
持っている武器も、醸し出す雰囲気も何か似ている。
しかし性別が違う。

心から違うと言い切れるわけではないが、
心から同じとも言い切れないのだ。
特に椿の撫子色の炎が彼女の心を探ってもそうは思えないのだ。
六道骸が憑依しているとは。















「かばってくれるんだ」








「ありがと、ボス」
















――――ちゅっ

ツナの頬に触れるクロームの唇。
要するに頬にキスしてきたのだが。










「え゛え゛―――!!!」
「んな゛ーー!!!」











ツナと獄寺の動揺具合と言ったら。
いや、もちろん、ほかのメンバーも動揺していたがツナと獄寺のリアクションが大きい。
椿は目を見開いて、固まった。
犬も「ゲ…!!」と硬直している。















「何してんだテメーーーー!!!」
「あいさつ」
「なっ!??」
「ふざけんな!!10代目から離れろ!!!」

















騒がしくなってきた会場。
紅葉はシャツをつかむ手を放すと、XANXUSを見た。









「もう、大丈夫です」










そういって笑うと、XANXUSの膝から降りた。
そして、クロームを見た。














「へー、あれがね…もっと仙人のじーさんみたいなのが出てくると思ったら、女かよ」
「どういう考えなのさ、ベルは」
















ベルはステージのふちに腕をかけながら、クロームを見て言った。
葉夜はその隣で、静かにクロームを見る。
確かにそっくりだ。
しかし、紅葉は何も言わなかった。
恐らく六道骸かどうかの選別は自分よりも紅葉の方がわかっているはず。



――――一度、洗脳された紅葉の方が。














「よ………妖艶だ………」
「キメェ、タコ」
「た、タコだと!!??」
「間違ってないじゃん♪」


















♪を飛ばすベル。
葉夜は心底いやそうにレヴィを見る。
ロリコンか、あいつは。










(あ、いや…
ヴァリアーには最大のロリコンが存在したよ…そういえば)










レヴィよりもはるか前からロリコンだとわかっていた人物が。
葉夜は悠然と座り、紅葉を気にかけている様子のXANXUSを見る。
みんな気付いていない雰囲気だが、
XANXUSと紅葉の年齢差は10。
すなわちは絶対にロリコンの部類に入れても問題ない。
むしろ、ロリコン以外の表現はありえない。

















「ファンタズマが興奮してる」

















マーモンの頭の上、
小さなカエルが「フー」と息を吹き出しながらペタペタと足を動かしている。
その行動は興奮行動だ。
マーモンをそれから視線をクロームへ移す。

















「やはり、敵の守護者は特殊な人間のようだな。サーカスにでも売りとばせば、金になりそうだな」





















53:幻影操りし者の闘い
























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