Memoria

□13:突入
1ページ/8ページ
















紅葉…
















移ろいゆく夢の中。
紅葉は静かにその声に耳を傾けていた。
静かな空間の中にそっと響く、あの人の声音。
暖かく、身を包んでくれる。















穏やかな表情で刀を包み込む紅葉を骸は満足げに見ていた。



















ガタッ……






「ああ、千種ですか?」




















現れたのは血だらけの千種。
何もいうことなく、倒れていった。













「おや、当たりが出ましたね」
「柿ピーきました〜?あら!っひゃー、だっせー!」














犬は自分の足元に倒れる千種を見るために屈み、その様子を眺めた。












「っひゃ、血ぃうっまそ!」
「噛むな犬!」













犬は骸の言葉で行動をとめた。
そして、彼を見た。


口元に薄い笑みを浮かべた表情は変わらない。
だが、とても楽しそうに見える。


















「気を失ってるだけです。
ボンゴレについて何もつかまず千種が手ぶらで帰ってくるとはずがない。目を覚ますまで待ちましょう」




















骸はそういう紅葉に視線を送った。















「治療にどれだけの時間がかかりますか」
「…………この傷なら

2時間程度で治せる」
「では、おまかせしても?」
「…(コクリ)」



















紅葉は刀を置き、千種を俵担ぎにすると奥へと消えていった。




















「…火薬臭……

ダイナマイト」






















そうつぶやくと、紅葉は手を千種の体にかざす。



















わずかな緑色の光が千種を包み込んだ。

























13:突入

























次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ