Essay

□自戒と諦観
1ページ/1ページ

「憧れの学校」に入学して、「素敵な自分」になることを夢見て勉学に励んでいた四年前の私が、今の私を見たならどう思うだろう。物凄くがっかりして、勉強することをやめてしまっていたかもしれない。しかし当然ながら未来を見ることなど出来ないので、「憧れの学校」に入った末、立場に甘んじて堕落していくことなど知る由もなかった。だからこそ今の私があるのだが。
私は嗤えるほど無知で、自分の頭の程度を知ろうともしないおめでたい人だったので、「憧れの学校」に入学してからは有頂天になっていた。しかし、そこで初めて現実を知った。今尚持って生まれた不器用さ故に様々な人に迷惑をかけ、そんな私を助けてくれた人にさえ、失礼なことをたくさんしてしまっている。学校に行く度に、自分の欠点ばかりが露呈していく。自分の浅はかさが、厭でも知らしめされる。学校はあまり好きではない。惨めな気持ちを、毎日のように再確認せざるを得ないのだから。決して裕福ではない生活であるにも関わらず、わがままを言って高いお金を払ってもらって受験して、学校に通わせてもらっている立場上、親、家族に申し訳なくていてもたってもいられなくなる。
そのくせ、指をくわえて周りを卑しい眼で視ているだけで、自ら進んで努力しようともしない。自己嫌悪、と口では云いつつも駄目な自分がカワイイ、と甘えているから。心に巣食った質の悪い自己愛精神はたちまち幅を利かせ、僅かに芽生えた向上心を外へ追いやる。そしてその場かぎりの快楽に溺れる日々が続き、結局何一つ成さぬまま、十六年ずるずると生きてしまった。もういっそ、殺してくれ、とも思う。でも、それもただの「逃げ」だということに気付く。口ばかりで命を捨てる覚悟などない腑抜けの言い訳に過ぎない。
幾度となく吐く溜め息は、やり場のない憤りともどかしさを含んで白濁し、怠惰さがよく表れた、醜く肥えた脚は最早飾りにすらなっていない。澄んだ夜空を見上げ、なれるものなら、屑は屑でも、闇を照らす星屑になってみたいものだ、と呟いてみる。無論、悠久の時を生きる星達は、ちっぽけで身の程知らずな愚か者等視界の端にも留めず、何時もと変わらぬ輝きを放つに違いないのだが。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ