中ぐらいの夢たち

□YELL
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「忍足、こっちこいよ!」


「おぅ」




宍戸に呼ばれる。


一回レギュラーに戻るために切った髪は伸びてきている。




「髪、ずいぶんのびたなぁ、」


「ははっ、まぁな。受験で髪切りに行く時間もなくてよー」


「あぁ、なっとくや」


「オイ!それどうゆう意味だよ?俺、激ダサじゃねぇか」




俺らは顔を見合わせて笑いだす。


ひとしきり笑ってから宍戸が



「このからみもなくなんだな、」



なんてしみじみ話だした。



「そやな、」



俺もしみじみになる。




宍戸は鳳や日吉以上に努力家で、まっすぐなやっちゃった。


俺の冗談にもしっかりツッコんでくれるいいいやつやった。



「そうだ、これやるよ」


宍戸はかぶってた帽子をかぶせてくれる。




「これ、かなり大事にしてたやつやないか」


「まぁな」


でも、お前に忘れられるよりマシだ。



そう笑った宍戸は太陽みたいやった。





「忘れるわけないやないか……忘れられるか、アホ……」


「ば、バカ…!しんみりすんなよ、」


「関西人にバカは禁句やわ……」


「す、すまねぇ、」




しんみりしててお互いに泣きそうなのになぜかネタになっとる。


この気楽さ、温かさ、これが宍戸の魅力なんやと思う。



結局、宍戸の帽子はもらうことになった。


ありがとう、な…





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