中ぐらいの夢たち
□YELL
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「忍足ぃ〜」
「なんやジローか。どうしたんや?」
「なんで転校するんだよー、スゲー悲Cー、、、」
「仕方ないよ、芥川。忍足の決めたことだからね」
「滝………」
メッチャ悲しそうなジローと、泣きそうなのを堪えながらジローをなだめる滝。
二人ともレギュラーと準レギュラーの間を行ったり来たりしてるやつらや。
でも、レギュラーのやつらをあからさまにひがんだりせぇへんで、応援したり、サポートしてくれたりしとった。
きっと、辛かったはずなんや。
俺が元からいーひんかったら入ってたのはどっちか一人のはずだと、いやでも考えるはずなんや。
でも、こんなにも俺との別れを惜しんでくれる、悲しんでくれる。
なんだか自分も悲しいのに、どこかあったかいんや。
「ヤダヤダ、超悲しEー!俺も大阪いく〜!!」
「なにいうとるんや。大阪なんかなぁ、新幹線使ったらすぐやでぇ。ジロー、新幹線好きやろ?何回でもきたらえぇ」
「でも俺、何回も行けるほど金持ってないC…」
「そんときは俺が行ってやるわ」
「フフッ……忍足、ジローを甘やかしちゃダメだよ」
ジローは思ったことをストレートに自分の言葉にできる奴で、ポーカーフェイスでいろんなものを隠そうとする俺には眩しい存在や。
でも、ジローといると自分も素直になれる気がするんや。
滝は最初見たときは女かと思ったくらい美形で、笑顔が綺麗で、初対面にナンパしようとした思い出は拭いきれへんわ。
宍戸に負けてレギュラー落ちしてからは勿論最初のほうやとしょぼくれとったけど、すぐにレギュラーのために裏方の役割をまっとうしてくれたわ。
「忍足ぃ、転校してもちゃんとメールとかしてくれるー?」
「当たり前や。………にしても女っぽい喋り方やなぁ」
「やるねぇー」
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