中ぐらいの夢たち

□YELL
6ページ/9ページ






カチッ……



いきなり証明が消える。


「始まったCー」



こんなことすんのもアイツぐらいしかおらん。



「レディース エンド ジェントルマン!!!」



ここにレディーはおらんでぇ。



そう心の中でツッコミながら我らが部長、跡部景吾の言葉を待った。





「お前ら忍足に言いたいことは言えたか?どうせ言えてねぇ奴が多いんだろ。だから俺様がお前らが忍足に書いた手紙を読んでやる!!!」




……なんて勝手な奴や。


ただ、アイツらしいっていっちゃあアイツらしいわ。





「次は、、」



結局跡部はレギュラーの手紙を躊躇いなく読んでいる。


それを嫌がるメンバーをみて不敵に笑う跡部。




………もしかしたら跡部はドSなんやろうか?



「…………」






跡部の手が止まったで?



「忍足へ


お前のために手紙を書くなんて予想もしていなかったからな、思った以上に何書いたらいいのかわからねぇ。
だからほかの奴より短いかもしれない。
許せ、忍足。


お前がこの氷帝学園に入学してとても楽しませてもらった。
この手紙に書く気持ちに嘘や偽りはねぇ。
全部俺様の本心だ。

お前も、楽しんだよな?
氷帝学園での生活を。
俺はお前がいて楽しかった。
だから、充実した中等部での生活をありがとう

あとはお前のやりたいようにやれ。
お前の決めた道だ、誰かからの指図も参考程度に流しておけばいい。
やめたくなったら思い出せ。
この夏、いや。
ずっと、お前と一緒に闘ってきた200人の仲間を。
こんだけ人数がいるんだ。
なにが怖いんだ、アーン?
疲れたらいつでも帰ってこい。
甘えねぇ程度に、な。

最後に……」




言葉をきる跡部。


ふと俺は跡部をみる。



「………」



跡部は静かに、音もたてず、泣いとった。



俺は、ホンマこいつらに大切にされとることを実感する。

なんでって、跡部のあの涙はそういうことやろ…?





「……最後に。
永遠はねぇかもしんねぇ。
もうお前と会うのも最後かもしんねぇ。
でも、そうじゃないと信じている。
氷帝での誇り、氷帝テニス部での誇り、俺達の仲間である誇り…
お前はそれを信じてろ、誇ってろ。
俺はお前が夢を叶えると信じてる。


     跡部景吾」





「……………」


気付けば俺も泣いとった。



跡部のように静かに、音もたてんで。


泣く、ちゅーより思いや考えを無理せんでただ流しとるだけやった。



気付けばこの場にいる全員が泣いとった。


………全員じゃないようや。




岳人だけが目にめっちゃ涙をためとるくせに堪えとる。





.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ