中ぐらいの夢たち

□YELL
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「忍足さん」


「なんや、鳳か」


日吉と入れ替えに今度は鳳がきた。



「先輩は卒業したらなかなか会えなくなるんですね、、これは俺からの卒業祝いです」


そう言って鳳は小さな箱型のものをくれる。



「嬉しいなぁ。開けてもええか?」


「はい」




その中には小さなオルゴールがはいっとった。




「ずいぶん可愛いのがでてきたなぁ」


「ふふ、忍足さんぽくないですか?」




曲は俺の好きな恋愛映画のテーマ曲やった。



「そやな、鳳。ありがとぅな」







「忍足さん、」



「なんや?」





「なんで高校卒業したらなんですか?東京だったら大抵のことはできると思うんです。それに、秋に考えてたならなんで今まで言ってくれなかったんですか?」


「なんや、聞いてたんか」




「はは、ごめんなさい、聞いてました。さすがに秋から変だったっていうのは日吉しか気づいてなかったみたいですけどね」



鳳は正直ものでお茶目な奴や。



ほかのメンバーは炭酸ジュースをふって騒いどる。




そんな賑やかさとは違いゆったり話だした。







「……怖いんや。東京やとみんなおる。甘えたくもなる。大阪には親がおるけど甘え方が変わってきてまう。自分に妥協せんためには大阪じゃなきゃあかんのや」




「…………」




鳳は真剣に聞いとる。





「秋から考えとって言えんかったんは、、情けない話やけど決心できてなかったんや。……実際に大阪の高校に合格するまで、迷ってたんや」



「……そうなんですか」



でも、良かったです。





そう言って鳳は微笑んだ。




「ぇ……?」





「だって、俺らに信用がなくて言わなかったんじゃないんですよね。俺らに迷惑かけないように言えなかったんですよね?」




「鳳…………」




嬉しかった。


ただただ、わかってもろうただけやけど、嬉しかった。






「頑張ってくださいね、忍足さん!!」


「まぁな、まかしとき」






鳳はまっすぐで、周りのことがほっとけないやつで、俺も何度もテーピングなんか教えてもろた。

日吉とタイプは違うけど、ホントに自慢の後輩や。






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