□世界が色を無くす時
1ページ/3ページ

《世界が色を無くす時》

大きな爆発音と共に、モニターが光と黒い煙に埋めつくされる。

フリーダムが撃たれた…

その瞬間、世界が消えた。

「キラァァァーーーッ!!」

客観的に見れば、世界から、彼等の方がいなくなったのだ。キラやAAのクルーの皆が…死んだ。そしてシンやミネルバのクルーたちをはじめ、当たり前だが、世界の大部分の人は生きている。

だが、そんな、俺を取り巻く世界は全て消えた。
ただそこには、自分と、キラが死んだという事実だけが、1対1で存在しているように感じた。


しかし、世界は再び構築され始める。
いつまでも、現実感に欠けているとか、世界がニセモノに見えるとか、そういうことはない。

あの時は…二年前、キラをこの手で殺した時は、ずいぶんと長い間、もやがかかった…そう、それこそ現実感に欠けた世界にいた。
「けど今は違うんだな」
俺はそんなに人の死に慣れてしまったのだろうか。それとも…キラを失うことに…?
「馬鹿みたいだな。キラばっかり…何度も…」
失って…。

大切なのに。

涙が出てきた。
キラがいないことが、悲しい。
悲しい。


悲しくて。自分が情けなくて。それでも世界が存在することは、ちゃんと分かってる。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ