種
□世界が色を無くす時
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《世界が色を無くす時》
大きな爆発音と共に、モニターが光と黒い煙に埋めつくされる。
フリーダムが撃たれた…
その瞬間、世界が消えた。
「キラァァァーーーッ!!」
客観的に見れば、世界から、彼等の方がいなくなったのだ。キラやAAのクルーの皆が…死んだ。そしてシンやミネルバのクルーたちをはじめ、当たり前だが、世界の大部分の人は生きている。
だが、そんな、俺を取り巻く世界は全て消えた。
ただそこには、自分と、キラが死んだという事実だけが、1対1で存在しているように感じた。
しかし、世界は再び構築され始める。
いつまでも、現実感に欠けているとか、世界がニセモノに見えるとか、そういうことはない。
あの時は…二年前、キラをこの手で殺した時は、ずいぶんと長い間、もやがかかった…そう、それこそ現実感に欠けた世界にいた。
「けど今は違うんだな」
俺はそんなに人の死に慣れてしまったのだろうか。それとも…キラを失うことに…?
「馬鹿みたいだな。キラばっかり…何度も…」
失って…。
大切なのに。
涙が出てきた。
キラがいないことが、悲しい。
悲しい。
悲しくて。自分が情けなくて。それでも世界が存在することは、ちゃんと分かってる。