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□日曜日の朝に…
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《日曜日の朝に…》

日曜日も相変わらず雲雀は学校に来ていた。
応接室はそれなりにくつろげる空間で。半分家みたいなものだ。
雲雀の部屋。

最近、その部屋をちょくちょく訪れる訪問者がいる。
今日はまだ来ていないけれど、そのうち来ることは分かっている。窓の外に、抜けるようなバットの音が響いているから。


ウザいな…。


人のテリトリーに何の遠慮もなく入ってくる野球少年。
あの、抜けてる笑顔で。
飽きもせず毎日。
よっ、雲雀!と、馴れ馴れしく…。
群れるのは嫌いだ。


「よっ、雲雀!」
来た…。
いつもの抜けてる笑顔で。
おはよう、と言いながら、一歩一歩こちらへ近付いてくる。

「目障りだ、消えて」
楽しそうに拒否の言葉を発する雲雀。戦いたいという顔。彼はいつも楽しそうだ。

…楽しそう?

「なあ、雲雀っ!俺がここに来るの楽しいか!?」
「君は何を言っているの?かみ殺すよ?」
雲雀があからさまにむっとした表情をする。そんな表情すら可愛く思えてしまう自分は、相当雲雀のことが好きなのだと、山本は自覚する。

「キスしていいか?」
人の話なんてまるで聞かずに無遠慮に近付いてきたかと思えば、挙句の果てに何を言い出すのか、この男は。
「いいわけないよ」
言いながら振るった一撃目のトンファーは避けられ、二撃目は山本の腹に見事に入った。
「いっ……て……」
小さく呻いてから咳き込む。
「容赦ねぇのな」
それでも笑う。
雲雀は顔を顰める。
次の一撃は山本の左腕が受けた、と同時に、彼の右手は雲雀の頭を捉えていた。

((あ…))

たった三度しか攻撃しないうちにキスを許している自分に腹が立った。キスが終わったらこの苛立ちごと、目の前(よりも近い)のこの不躾な男にぶつけてやろうと、雲雀は思った。

キスが終わったら確実に殺られると、山本は思った。


大きく取った応接室の窓からは、日曜の朝の光が降り注いでいて。柔らかく、あまりにも幸せなその光は、雲雀の学ランの背をゆっくりと暖めていた。

END
 

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