夢小説
□厄介な人との最初の話
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リョウ兄が住む第三新東京市に遊びに行った時に見たリョウ兄の彼女はとてもキレイな人で、私を見た時に見せてくれた笑顔は、とても人懐こいものだった。
「ほーんと加持の奴ったらドタキャンばっかなんだから」
そう言ってミサトさんは飲み干したジョッキをカウンターに叩き付けた。
地方から従兄のリョウ兄の所へ遊びに来たはいいが、急な仕事が入ったと行って街を見る約束をなしにされてしまった。
しかしそこは遠路はるばるやってきた私を退屈させないためのせめてもの罪滅ぼしなのか、仕事に行く前に丁度非番だったという彼女を紹介してくれた。
彼女だと紹介された当の本人はその場で否定していたけれど。
つまりミサトさんは今日一日休みを返上して会ったばかりの私に付き合ってくれたわけだ。
初めは従兄の彼女と二人きりだなんて何を話せばいいのかと思ったが、人懐こく話しやすい彼女とはすぐに打ち解けられ、二人できゃいきゃいはしゃぎながらショッピングを楽しみ、日が暮れる頃にはすっかり仲良くなっていた。
そして行きつけだという居酒屋で飲んでいる今、ミサトさんは私の肩に腕を回して顔を傾げる。
「でもそのおかげで△△ちゃんと会えたからいっかぁ〜。ねー」
「ちょっと、飲み過ぎじゃないですか?」
「ねーねー△△ちゃあん、私姉妹欲しかったのよね。△△ちゃん妹みたいで可愛い」
「…………」
「?」
「……ミ、ミサトさんこそキレイなのに可愛いとこもあって素敵じゃないですか!」
作ってしまった間を追い払うように声を上げた。
いけない、酔っ払い相手に何喜んでいるんだ自分は。
「かーっ、△△ちゃんは違うねぇ加持なんかの言葉とは重みが違うのよね。同じ血が流れてるとは思えないわ」
兄妹じゃなく従兄妹なのだから同じ血は流れていないのだが、少々面倒くさい酔い方をしている人に揚げ足をとるようなことは言いたくない。
適当に笑ってカクテルを口に含んだ。